日本代表のエースへ。宇佐美貴史が本気になった瞬間 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

「これが、W杯予選なんだな、というのは少なからず感じました。間違いなく勝てる相手、大差をつけて勝たなければいけない相手にも、0-0で終わってしまう難しさを感じました。今後も、アジアの各国はこういう戦い方をしてくると思うんで、今回のことをいい教訓にして、同じミスを犯さないようにしなければいけない」

 意外にも宇佐美から落胆した様子は感じられなかった。予選はまだ始まったばかり。しかも、負けたわけではない。そうした強気の姿勢は、宇佐美らしかった。

「チームとしては次、こういう試合にならないようにしていきたい。選手個々も、高い意識を持ってやっていけば、短期間で成長できると思う。自分はまだ、代表でレギュラーという意識はない。決めるときに決める、チャンスも作れる、そうやって結果を出していって、“エース”という存在になっていきたいです」

 初めて挑んだW杯予選。結果は最悪だったが、宇佐美はこの一年で、本田圭佑や香川真司ら代表の主力選手が称えるほどの成長を見せた。ブラジルW杯をテレビで見ていた1年前とは、隔世の感がある。それは、彼のプレイだけでなく、宇佐美の存在そのものが、ロシアW杯を目指す日本代表に欠かせない選手になりつつある、ということでもある。

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