ハリルJAPANで現実を知った「決して喜べないゴール」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki  photo by AFLO

 試合後の会見に臨んだハリルホジッチは、満足げな表情で雄弁に語った。しかし、こちらはそれに必ずしも同意できなかった。同じ目線を傾けていたにもかかわらず、彼のような満足感を得ることができなかった。

 日本代表が可能性の高いサッカーをし始めたのは、後半15分以降。すなわち、本田圭佑と香川真司がピッチに交代選手として送り込まれてからだ。

 先制点が生まれたのは後半33分。得点者はその6分前に、交代出場した岡崎慎司で、アシストは本田だった。その本田にパスを送ったのも香川だった。それは、ハリルホジッチにとっても、我々日本人にとっても、すでに十分知っている選手がボールに絡んだことで生まれたゴールだった。

 新鮮さはゼロ。香川のシュートを相手GKがはじき、それを本田がプッシュしたことで生まれた後半38分の追加点も同様。この試合のテーマ、すなわち「新戦力の発掘」に照らせば、決して喜べないゴールだった。

 ザッケローニ、そしてアジアカップにお馴染みのメンバーで臨んだアギーレに対し、我々は、「もっと新戦力を使え」と異を唱えた。目先の勝利を欲するあまりテストを怠るその姿勢を「保身」だと言って非難した。

 そこのところをすべて解除して戦おうとするハリルホジッチのやり方は、そうした意味で大歓迎だった。チュニジア戦のスタメンを見たこちらは、これまで動かなかったものが、動きはじめそうな好感触を得た。だが終わってみれば、結局、何も動かなかった。主役はやっぱり、本田であり、香川であり、岡崎だった。

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