ポストアギーレと日本サッカー。スペインの醒めた視線 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburou

 ラモン記者は「違約金はない」という日本協会の発表に首をかしげた。「彼の人柄から言えばそういう決断をしたかもしれない。だが、(契約した年俸が満額支払われない上に)違約金がゼロと言う話はないだろう。ハビエルと共に外国人スタッフも解任されたわけだから。少なくともスタッフの今後数ヵ月の生活を保証するものはもらっている可能性は高いと思うよ」と推測している。彼らの目には日本協会が事なかれ主義に陥っているように映っているのだ。

 後任監督について、フアン・ペドロ・ベナーリ氏は「これまで日本が積み上げてきた経験をしっかりと積み重ねることのできる監督選びをすることが大事だ。個人的にはザッケローニのようなプレイスタイルのほうが日本には合っていると思う」と語る。監督を代えるたびにゼロからスタートさせるのではなく、日本代表がこれまで重ねて来た経験をしっかりと継続させることを一番に考えた監督探しをすべきだと言うのだ。

 ラモン記者も「日本が組織としてまとまった良いサッカーをして成長しているのを、世界は見ている。焦る必要はない。ハビエルは日本に新たな経験を与えたはずの監督だから契約解除は残念だが、日本の良さをいかしていけばいい」と、日本サッカーに合う監督を見つけるべきだと語っている。

 ひとつ思い出したのは、以前、スペイン代表の強さの秘密を探る仕事で、スペインサッカー協会の下部カテゴリーのコーディネーターを務めているヒネス・エルナンデス氏から聞いた話だ。

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