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代表戦最大の見どころ。アギーレは香川真司をどこで使うのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 マンUのモイーズ前監督は、そんな香川に出場機会を多く与えなかった。新監督のファン・ハールも多機能型選手を好む指揮官だ。放出は当然の帰結と言えた。

 ドルトムントに迎えられることになった香川はユルゲン・クロップ監督の元で、晴れて1トップ下で起用されることになった。現在、その期待に応えている恰好だが、常時出場というわけではない。

 クロップには中盤フラット型4-4-2という選択肢もある。1トップ下がない布陣を採用すれば、香川はベンチ。彼にサイドに適性がないことをクロップは知っているのだ。

 しかし、少々布陣が変わっても、臨機応変に対応するのが今日的な名手。好選手の条件だ。対応の幅が狭ければチームの軸にはなり得ない。いまの香川は、左投手が出てきたら代打を送られる左打者と姿が重なる。サイドでも苦にせずプレイできるようにならなくては真の一流ではない。

 チームに、問われているのは、香川個人の活躍ではない。総合力のアップだ。

 アギーレは、この問題をどう解決しようとするのだろうか。4-3-3から4-2-3-1に変更し、あえて1トップ下というポジションを、香川のために用意するのか。現行の4-3-3の中に落とし込もうとすれば、「V」の字で並ぶ中盤の左右どちらかの上になるが、このポジションの選手は、1トップ下より中盤をオーガナイズする力が必要になる。相手ボールに対しても、鋭い反応も示さなければならない。守備力が求められるわけだが、現状の香川はボールを奪う力も、そしてその意欲も低い。試合の流れを読む力にも欠けている。

 4-2-3-1の1トップ下で起用された場合でも問題はある。香川は万能型の1トップ下ではないからだ。少なくとも、相手ディフェンダーを背にするポストプレイは得意ではない。前を向いてプレイすることで初めて力を発揮するタイプだ。すなわち1トップには、ポストプレイが得意な選手の存在が不可欠になる。ドルトムントと相性がいい理由は、そうしたタイプの1トップが常に存在するからだ。

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