なでしこ4強。若手中心でも成功した「イメージの共有」 (3ページ目)
単調なリズムに陥った後半、阪口がピッチに現れた。挨拶がてらに強烈なミドルを打ち放つ。残り12分という限られた時間で劇的に流れを変えた訳ではないが、確かにテンポが変わった。
猶本も、「単純にサイドにボールをつけるんじゃなくて、もう一度中盤で落としてからサイドとか、夢穂さんは自分で誘導していた」と身を持って感じ取った変化だった。
圧勝ムードの中、いつも以上に気を引き締めた選手たち。それは大会前にはまだ合わなかったイメージの共有が進んだことで結果に結びついた反面、プレッシングがない中での結果であるということ。単純な攻撃でも、決まってしまうというジレンマがあったのかもしれない。それでも、「点を取ることでどんな調子も上がる」という増矢の言葉のように、まずは成功のイメージを確立することが先決だ。
実力差のある試合は難しいもので、スコアだけでは成長の度合いを推し量ることはできない。だが、「日本は北朝鮮よりもムーブメントが多かった。内側、外側と攻撃が多彩で、戦い方を変えなければならず、より難しかった」と北朝鮮とグループリーグを戦ってきた香港のCHAN Shuk Chi監督はこのゲームの印象を語った。この試合のプレイがアジアのライバルたちに通用するか否かはさておき、自分たちのイメージを具現化する第一歩として、この勝利をポジティブにとらえたい。
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