名波浩が診断する。武藤、柴崎......アギーレJの新戦力 (2ページ目)

  • photo by Yamazoe Toshio

 そういう意味では、前線3人の人選はもちろんのこと、中盤やサイドなど、どういった選手の"組み合わせ"がいいのか、アギーレ監督がきちんと見極めていくことが今後は重要になる。

 一方で選手たちは、2試合で喫した4失点がすべてミスから生まれたことをしっかりと肝に銘じなければいけない。ミスをした選手をはじめ、そのプレイに関わった選手誰もが、これからは同じミスを繰り返さないように取り組んでいくことが大切だろう。

 さて、前述の柴崎を含めて、今回始動したアギーレジャパンでは5人の選手が代表戦デビューを飾った。わずかな出場時間しかなかったMF森岡亮太を除いて、最も際立っていたのは、やはり柴崎だろう。

 何よりボールが収まる。そのうえで、いいところを見ている。ひとつひとつのパスにも、ボールの距離やスピードの強弱によって、いろいろなメッセージが込められていた。おかげで、ベネズエラ戦では柴崎を中心に緩急のある攻撃が展開できた。不用意な横パスからピンチを招いたシーンもあったが、90分間を通していいプレイができていたと思う。本人的にも悪いイメージは持っていないのではないだろうか。

 また、常に淡々とプレイしているJリーグでは、ピッチ上における"温度"の低さが気になっていたけれども、この日は終始熱さを感じさせるプレイを披露。開始早々にボールを持った相手にガツンッとチェックに行っていたし、自らゴールを決めたあとは喜びを爆発させるなど、Jリーグではあまり見られない姿を随所に見せていた。

 代表の試合だからかもしれないが、国際試合においては、ピッチ上における"温度"というものが、個人的には大事だと思っている。それだけに、これからも柴崎には"温度"の高いプレイを心掛けていってほしい。

 ベネズエラ戦で先制ゴールを決めた武藤も良かった。代表デビューとなったウルグアイ戦では緊張していたからか、ほとんどいい形でボールを触れなかったが、この試合ではいいタイミングで顔を出してチャンスに絡んでいた。得点シーンでは、仕掛けからフィニッシュまでの形を持っている彼の良さが存分に発揮された。

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