名波浩が診断する。武藤、柴崎......アギーレJの新戦力 (3ページ目)
日本の2点目も、柴崎とのワンツーから岡崎に好パスを出すなどして、武藤が起点となって生まれた。ゴール前のスペースに入っていく動きは継続しつつ、今後も誰かと絡みながらのプレイを意識していってほしい。そうすれば、あまり孤立することはないだろう。加えて、ウルグアイ戦では何もイメージを持たずに、ただ突っかけていく感じだったが、周囲との連係を大事にしていけば、ボールを受けたあとのイメージも膨らんでいくのではないだろうか。
課題は、守備。人やボールに対しては問題ないが、裏のスペースなどの対応には心許なさを感じた。後ろに長友がいなければ、かなりやばかったと思う。代表におけるディフェンスというものを、しっかりと学んでいく必要があるだろう。
あと、先発出場を狙うなら、前述した周りとのコンビネーションで崩すこともそうだが、もっとプレイエリアを広くすることが求められる。本田圭佑ほどとは言わないが、もう少しインサイドに入ってくるとか、多少下がってボールを受けるとか、誰かのためにスペースを空けるなど、状況に応じて多彩な動きができるようにならなければいけない。
ウルグアイ戦で先発したFW皆川佑介は、周囲の選手が彼の特徴をまだよくわかっていなかった。その分、彼に対するサポートが遅く、持ち味が出し切れなかったと思う。結局、皆川が生きるかどうかも、前述した“組み合わせ”の問題。周囲のメンバーによって違ってくると思うので、Jリーグで点を取り続けて、再びチャンスをつかんでほしい。
DF坂井達弥は、ウルグアイ戦で自らのミスで失点を喫した。それを糧にして、まずはJリーグでも試合に出続けていくこと。そして、ひとつひとつ課題をクリアしながら、もっと成長していかなければいけない。
左利きで高さのあるセンターバックというのは、アギーレ監督が求めるオーダーのひとつだという。その点、坂井は希少な存在なのだから、サガン鳥栖のチームメイトにも引っ張ってもらいながら、力をつけていってほしい。
著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍
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