2014.08.22

ブラジルW杯惨敗の引き金になった「本田の言葉」

  • photo by JMPA,Kishimoto Tsutomu

W杯ベスト16という結果に惑わされた日本

――選手たちは、自分たちで目標を高く設定して、それにつられて周囲の期待も大きくなっていった。そこで、「勝たなければいけない」という気持ちが一層強くなって、それが悪いほうに出てしまったのでしょうか。

杉山 そうだね。そんなふうに思うこと自体、間違いなんだけど。世界的に見れば日本は弱者なんだから、本来、無欲で挑まなければいけない立場なんだよ。

中山 そういう意味では、前回(2010年南アフリカ大会)はよかった。期待されていなかったから、その分、開き直ってやれて、決勝トーナメント進出という結果につながった。

杉山 それこそ、無欲の強さだよね。だからといって、その結果が日本の実力ではないからね。あの結果は、僕はまぐれだと思っているから。だって、3戦目のデンマーク戦(3-1)にしても、本田と遠藤保仁の2本のFKが決まっていなかったら、どうなっていたかわからないよ。100回に1回も望めないような展開で得た結果であって、デンマークとはそれぐらいの差があった。

――にもかかわらず、日本はそれが自分たちの実力と勘違いしてしまった......。

杉山 選手も、メディアも、ね。それで、前回のベスト16という結果をベースにして、物事を考えちゃった。それが、ダメ。ブラジルW杯における、最大の反省点だと思うよ。考えても見てよ、(南ア大会で同グループだった)カメルーン、オランダ、デンマークともう1回やって、同じ結果が出せるかって言ったら、かなり旗色悪いでしょ。

浅田 昨年のU-17W杯(UAE)で、日本が決勝トーナメントの1回戦でスウェーデンに負けたとき、吉武(博文)監督が「同じ条件でこの試合を10回やったらどっちが多く勝つかわからない」と発言した。今回は負けたけど、10回やれば日本のほうが多く勝てるという意味なんだけど、その発想は基準としてあるべきだと思うんですよ。だから、この試合で負けたからといって、今のやり方を変える必要はない、と。

杉山 強いチームでも、10回やったら、1回や2回は負けることがある。サッカーはそういうものだから。

浅田 裏を返せば、10回のうち、1回か2回しかないようなことがたまたま起こって、それでベスト16に行けたからって、それでいいのか、ということ。結果は結果として、「この試合を同じ条件で10回やったら、何回勝てたのか」っていう発想にならないと、肝心なところは見えてこない。

杉山 そう。それが、反省・検証だよ。

――結局のところ、日本はもう一度、世界における自分たちの立ち位置をきちんと認識しなければいけない、ということですね。

杉山 弱いからどうするかっていう発想を持たないと。「弱いから」っていう危機感が底上げの動機になるんだから。オランダなんかも、世界の強豪国のひとつなんだけど、「自分たちは小さい国だからどうするか」っていう話(危機感)から、すべてが始まっている。だから、驕(おご)りもない。今大会だって、前回大会準優勝なのに「目標はベスト8だ」って言っていた。

中山 だけど、日本の場合、ベスト16という結果を残したら「次はベスト8だ!」ってなっちゃう。