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合格点は岡崎慎司と長友佑都だけ。日本代表史上に残る緊張感の欠如 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ニュージーランド選手は、前半17分以降、チャンスがパタッと減った日本とは対照的に、時間の経過とともに身体が動くようになっていく。もう5分あれば、あと1点ぐらい決めていてもおかしくない勢いで、タイムアップの笛を聞いた。

 ニュージーランドはW杯出場国ではない。現在の日本とはモチベーションが違う。今回の来日メンバーにもかなり若手が混じっていた。なにより潜在的な力が落ちる。日本は勝って当然の相手と試合をしたわけだ。

 W杯本番まで、残された試合はこれを含めてわずか2試合。極端に少ない試合数の問題もさることながら、対戦相手も大きな問題を抱えている。本番が、押し迫ったこの時期に、なぜニュージーランドなのか。本番直前の壮行試合に至ってはキプロスだ。チーム力はさらに落ちる。

 代表チームが最後の数ヵ月、どのように仕上がっていくか。ブラジルW杯に期待を膨らませようとすれば、そこのところはしっかり見届ける必要がある。だが、ザックジャパンの場合は、事実上11月のオランダ戦、ベルギー戦が「強化試合」としての最後の試合になった。7ヵ月間もまともな相手と試合をしない。緩い相手と2試合のみ。なにより「設定」にやる気が感じられないのだ。ファンは肩すかしを食った状態にある。

 ニュージーランド戦。日本のゴールが決まるたびに緊張感は失われていった。試合はどんどん緩くなった。ただでさえ緩い試合がさらに緩くなった。国立競技場はこの姿を見て大喜びしただろうか。

 岡崎が4点目のゴールを決めたとき、選手はさほどゴールを讃え合おうとしなかった。観衆の歓喜も、いつものような爆発的なものではなかった。試合への興味をすっかり薄れさせる、それはあまり歓迎したくないゴールだった。まさかその時、この4点目が重要な意味を持とうとは、夢にも思わなかっただろう。

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