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名波浩の楽観論「日本がW杯ベスト8に入る方法」 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 2試合を終えて2勝――。それが、理想だ。すでにグループリーグ勝ち抜けが決まっていれば言うことはない。3戦目のコロンビアは、それぐらいの余裕を持って戦いたい相手だからだ。

 なにしろ、過去のW杯を振り返ってみても、日本は南米勢とは分が悪い(3戦3敗)。その要因は日本が技術面で劣るからである。それほど技術の高い南米勢の中でも近年急速に力をつけてきたのが、コロンビア。できれば、対戦するのは避けたかった。

 開催地が隣国のブラジルだから、おそらくコンディション作りも万全だ。大挙してサポーターも押し寄せてくるだろう。W杯南米予選では、アルゼンチン代表の選手でさえ、コロンビアサポーターの圧力にびびって、震え上がっていたほど。その強烈な雰囲気に、日本の選手たちも飲み込まれてしまう可能性はある。

 警戒すべき選手は、なんといってもFWファルカオ(モナコ/フランス)。今や世界最高のストライカーと言ってもいい。W杯南米予選では13試合に出場して9ゴールを記録。今大会でも得点王の本命だ。

 所属するモナコでも縦の関係を組む、MFハメス・ロドリゲス(モナコ/フランス)とのコンビネーションも抜群。彼らふたりから生み出される、スピーディーかつ迫力のあるショートカウンターが、攻撃における最大の特徴だ。そこには、ショートパスをつないでくる、かつてのコロンビアのイメージはない。

 指揮官も、攻撃的なサッカーを志向する、アルゼンチン人のペケルマン監督。1-0で凌ぎ切るような発想はなく、攻守の切り替えを早くして、相手を圧倒するサッカーを仕掛けてくる。日本がベルギーに勝利した昨年11月、コロンビアもベルギーに2-0と快勝。素早い攻守の切り替えの応酬の中で、コロンビアはパワーとスピードでベルギーを蹴散らした。

 そのベルギー戦で際立っていたのは、ボランチ。横へのスライドが非常に速く、バイタルエリアを締めてしまうのが、とてもうまかった。

 日本としては、そのスペースを埋められると、かなり厳しい状況に追い込まれてしまう。バイタルエリアで決定機を演出することができる本田や香川真司が、下がってボールを受けなければいけなくなるからだ。

 そうした状況を打破するには、コロンビアの守備ブロックの間、間でボールを受けながら、遠藤保仁や長谷部がいかにタイミングよく前線にボールを配球できるかどうか。そして、敵の一瞬の隙をついて、本田や香川がどれだけ多くバイタルエリアで勝負できるかがカギになるだろう。

 グループリーグ最大の強敵には、引き分けられれば御の字。それで、グループ首位通過が決まれば、最高だ。というのも、決勝トーナメント1回戦で対戦するのがグループD(ウルグアイ、コスタリカ、イングランド、イタリア)の1位か2位で、おそらくウルグアイが首位で上がってくると思うからだ。

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