ミラン本田圭佑に要求される「最低限の数字」とは (3ページ目)
一方、今回は日本代表では紛れもないエース格。ミランでも中心選手として活躍できれば、充実した状態でW杯を迎えられるだろうが、反対に出番に恵まれず、試合勘を失うようだと、日本代表の命運を左右しかねない。
確かに、そういう意味では不安の声が上がるのもわかる。だが、本田自身、そうしたリスクを承知のうえでのチャレンジだと思う。そこは周りがとやかくいっても仕方がないことで、いい結果が出ることを信じるしかない。
何はともあれ、本田がミランでどんなプレイを見せてくれるのか、今は楽しみのほうが大きい。
フィジカルの強さが本田のストロングポイントのひとつだが、近年は膝を傷めて、敵との接触をできる限り避けてプレイしてきた。おかげで、以前よりも球離れが速くなって、この1年半くらいは、周囲と連係し、連動したサッカーを体感し、本田自身も楽しめるようになってきた。人を背負わなくてもいいサッカーができることを感じ取っている。
そのプレイスタイルは、ミランでも生きるだろう。なにしろ、ミランにはバロテッリやムンタリ、カカなど、体格がよくて、敵を背負ってくれる選手がたくさんいる。そうした役割は他の選手に任せて、本田はより球離れを速くし、前線のふたりを生かすプレイを発揮できれば、ミランでの確固たる地位を確立できるはずだ。
現在のミランはかつてほどの輝きを放っていないが、それでも伝統のあるビッグクラブであることに変わりはない。このクラブでプレイすることで、本田はもうひとつ上のステージに上がることができるだろう。とりわけメンタル面においては、さらなるステップアップが見込める。それが、日本代表にもいい影響をもたらしてくれるに違いない。
著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍
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