日本がオランダに「善戦」したもうひとつの理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 前半と後半で、これほど内容が変わる試合も珍しい。勝てなかったけれど、終わり方はよかった。ザッケローニへの批判はひとまず収束するだろう。

 だが、重大な意味を持つイエスかノーの二者択一が、この1試合の結果で翻(ひるがえ)ってしまっていいものだろうか。オランダ戦も、前半の44分までは、まるで褒められない内容だった。見極めには慎重さが求められる。

 この試合、僕はお馴染みのメンバーがスタメンに顔を揃えると思っていた。相手は強豪オランダ。しかも自身へは逆風が吹き荒れている。大敗は絶対にできない試合。これまでなら、遠藤、香川は当然先発。センターフォワードも、貴重な先制点をたたき出した大迫ではなく柿谷だっただろう。

 そうならなかった理由は、わかりやすい。続くベルギー戦が中2日で行なわれることになったからだ。なぜそんな変則日程になってしまったのか。「放送局の都合ではないか」とは聞いた話だが、これが功を奏したのではないかと僕は思う。

 もし通常通り、中3日で行なわれていたら、前述の3選手はスタメンで出場していたはずだ。中2日だったので、選手をローテーションで使わざるを得なかった。このことはザッケローニも認めている。だがもしスタメンを変えていなかったら、このような試合の流れにはならなかったはずだ。大迫のゴールも生まれていなかったと思う。 後半の追い上げもなかったと思う。

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