日本がオランダに「善戦」したもうひとつの理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 善戦。というよりも、柿谷曜一朗のシュート(後半33分)が決まっていれば、勝てたかもしれない試合。ザックジャパンがこれまで演じた試合の中で、最も惜しい試合だった。

 オランダ戦とその3日後に行なわれるベルギー戦は、大袈裟に言えばザッケローニの運命を懸けた試合だ。この2試合に先立ち、原博実技術委員長は「ザッケローニ解任はない」と述べたそうだが、もし2試合続けて大敗すれば、世論が黙っていない。ザッケローニにとってこの2連戦は正念場。その第1戦で日本は、勝てたかもしれない惜しい試合をした。

後半15分、同点ゴールを決めた本田圭佑。後半は終始日本のペースだったが... 後半15分、同点ゴールを決めた本田圭佑。後半は終始日本のペースだったが...  ベルギー戦がどうなるか分からないが、ザッケローニへの逆風はこれで収まるに違いない。続投か否か。原技術委員長に詰問する必要は、どうやらなくなった感じだ。それがいいことか悪いことかは別にして。

 オランダ戦前半。立ち上がりの数分間を除き、オランダの一方的なペースだった。ロッベンのスーパーゴールで0対2にされたとき、日本は0対4で終わっても不思議はない危ういムードに包まれていた。相手にボールを支配され、ハーフコートゲームに近い状態に陥っていた。

 前半44分。そうした状況の中で大迫勇也のゴールが生まれた。

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