欧州にも対抗し得るサッカー指導者が日本に生まれた (4ページ目)
そして吉武監督も同じような台詞を吐いた。
「勝つためにやっているんです」
リージョはこうも言った。
「良いサッカーをしても、勝たなければ何の意味もないという声をよく聞くが、良いサッカーと勝利を別物としてとらえることは間違いだと思う。サッカーの長い歴史を振り返れば、良いサッカーをしたチームが勝っていることが分かる。それがいつから別物になってしまったのか」
スウェーデンに敗れ、ベスト8入りを逃した吉武監督は、試合後の記者会見で、外国人記者の「これからもこのスタイルを貫くのか?」という質問にこう答えた。
「問題は10回戦って何回勝てるか、です。それを考えると、1回の敗戦でこのサッカーをやめるつもりはない」
世の中にはこの敗戦を受けて、吉武サッカーに異を唱える人も目立つ。しかし、10回戦って何回勝つかというまさにサッカーらしい視点に立つと、吉武サッカーは、次は勝てるという気持ちを抱かせる。
実際、スウェーデン戦の2失点は、いずれもGKミスだった。通常なら防げていたはずのものだった。敗因をひと言でいえば不運。吉武ジャパンには正直、10回戦ったら7~8回勝てそうな可能性を感じた。
相手のスウェーデンは、世界のヒエラルキーに従えば日本より強い国だ。つまり、日本は大善戦したわけだ。吉武監督のサッカーにケチをつけている人は、日本の立ち位置が分かっていないような気がする。
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