2013.11.05

欧州にも対抗し得るサッカー指導者が日本に生まれた

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 バルサのサッカーを、目指すべきサッカーとして掲げる人は多くいた。しかし、そのいずれもが、バルサのサッカーには似ていなかった。芯を食ったモノに遭遇できなかった。

「ご存じのように、バルサは育成段階から同じコンセプトでサッカーをしています。その仕組みがない他のチームがそれを実現させることは簡単ではありません」と言ったのはスペインのサッカー指導者、フアン・マヌエル・リージョ。バルサがそのスタイルを完全に確立するまでに多くの年月を費やした方法論を、それにこだわってこなかった他のチーム が、一朝一夕にしてマスターすることは難しい。グアルディオラが師と仰ぐ戦術家は、こちらのインタビューにそう語ったわけだが、彼はこう付け加えた。

「しかしながら、ボールを中心にサッカーをとらえ、選手が常にボールと”共鳴”し合うように動くことができれば、論理的には可能です。ハードルはとても高いですが」

吉武博文U-17日本代表監督。大分県出身、53歳。大分市立明野中学サッカー部監督から大分トリニータU-15コーチ、大分県トレセンコートなどを経て、2009年に2011年U―17W杯出場を目指すU-15日本代表監督に就任した ところがその高いハードルを、吉武博文監督率いるU―17日本代表チームは、見事に超えていた。バルサ以外のチームで、最もバルサ的なチーム。思わずそう言いたくなるほど、芯を食っていた。

 バルサのサッカーは、よく「パスサッカー」と言い換えられるが、それはあくまでも現象にすぎない。「常に相手陣内でプレイすることができれば、こんなに楽しいことはない」と語ったのは、バルサに攻撃的サッカーを伝えたヨハン・クライフだが、彼が何よりこだわっていたのはボール支配率だった。