セルビア戦の問題は攻撃陣。日本は4-2-3-1まで揺らいできた (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 試合後、ザッケローニ監督は「セルビアに対してこれだけの内容で戦えたことはポジティブにとらえている」とコメントしたうえで、しきりに「内容で相手を上回っていた」と強調したが、残念ながら現場にいた人間からすると、とても日本がセルビアを内容で上回っていたようには見えなかった。おそらくテレビで観戦しても同じであろう。

 その最大の原因は、ゴールの匂いをまったく感じさせないオフェンスにあった。

 問題は大きく分けて2つ。ひとつは、これまでも何度となく指摘されている香川真司のプレイエリアの問題である。確かにこれは今に始まったことではないのだが、コンフェデレーションズ杯を経て、ウルグアイ戦、グアテマラ戦、ガーナ戦と、試合を重ねるごとに顕著になり、このセルビア戦ではもはや修正がきかないレベルになっていた。

 あらためるまでもないが、香川のポジションは4-2-3-1の3の左サイドだ。ところがトップ下が最も自分の実力を発揮できる場所という意識の表れなのか、最近の不調からくる焦りの表れなのか、香川が自分のポジションを留守にして自由に動き回る時間帯があまりにも多すぎた。
 
 DFやボランチがボールを奪ったあとにルックアップする際、香川が左サイドにポジションをとっていることは稀(まれ)。よって、香川がボールを受ける場所は、相手の人数も多い中央付近、あるいは本田圭佑よりも低い位置で足下にもらうケースがほとんどになる。

 必然的に、相手に狙われやすく、囲まれてボールを失う場面も急増。セルビアの守備が組織的に機能していたこともあるが、周りのパスコースを消しながら、香川にボールが渡ったところを狙って一気に囲むという場面が何度もあった。

 日本のここ数試合の傾向として、シンプルにサイドを崩してからゴール前にクロスを入れるような場面が極端に減っている。長友佑都、遠藤保仁、本田、香川の4人で左サイドを崩し、逆サイドの岡崎慎司がゴール前に走り込む、というお得意のパターンも消滅しつつある。

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