【U-23】東アジア大会惨敗も、なでしこ「狭間世代」に芽生えた決意

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

苦しい戦いの中でも高いパフォーマンスを見せた齋藤あかね苦しい戦いの中でも高いパフォーマンスを見せた齋藤あかね これまで日本女子サッカーにU-23というカテゴリーはなかった。2013年は秋まで、なでしこジャパンの強化合宿と海外遠征が続き、各世代の代表(U-16やU-19)もAFCアジア選手権で、来年のワールドカップ出場権を争う戦いがあった。つまりU-23は、10月6日から開幕した東アジア競技大会(中国・天津)に出場するため、新たなカテゴリーとして新設されたものである。

 U-20女子代表を巣立った選手たちや、大学生選手、そしてアンダー世代の代表活動時期以降に成長してきた選手など、いわば"狭間世代"からの新戦力発掘のため、なでしこジャパンの招集経験者は山根絵里奈(ジェフユナイテッド市原・千葉)、菅澤優衣香(ジェフユナイテッド市原・千葉)らわずかな人数にとどまった。しかし、戦績は3戦1勝2敗。惨敗と言える結果だった。

 初戦は格下のチャイニーズ・タイペイを相手に8-2の圧勝。予想通りの結果である。第2戦は地元・中国との対戦。反日感情が渦巻くアウェー感満載のスタジアムと相手の勢いに完全に飲み込まれて失点、ミスを連発する日本のパフォーマンスは決して褒められたものではなかった。

「こんなんだったら、帰ったほうがいい」久しぶりに佐々木監督が声を荒らげた。ボールを奪っても、すぐに他の選手に回してしまう消極的なプレイの連続。

 ハーフタイムの佐々木監督のゲキで閉塞的な空気が吹っ飛び、後半はなんとか盛り返したが、再び失点。結局は0-2で敗戦した。逆転優勝へ望みをつなぐ、日本の最終戦の相手は無敗で首位を走る北朝鮮。立ち上がりから積極的な動きを見せたのは日本だったが、先制点を奪ったのは北朝鮮。セットプレイからだった。その11分後にも追加点を許し、前半で痛い2失点。後半に入っても北朝鮮の守りを崩せず、試合終了。中国戦での課題を修正しながらの北朝鮮戦。徐々にパフォーマンスは上がってきたものの、日本は中国にも順位を譲り、3位で大会を終えた。

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