ナイジェリア戦。初のボランチコンビで澤も宮間もなでしこも復活

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

3カ月ぶりの代表復帰でフル出場を果たした澤穂希3カ月ぶりの代表復帰でフル出場を果たした澤穂希 なでしこジャパンの2013年最後の国際親善試合はナイジェリアとの2連戦。その第1戦が長崎で行なわれ、36分に大儀見優季のゴールで先制すると、53分には川澄奈穂美が追加点を奪う展開。時折ピンチを招くも2-0でなでしこジャパンが完勝した。

 意外にも初の組み合わせとなったのが3カ月ぶりに代表復帰を果たした澤穂希と、キャプテンを務めた宮間あやのボランチペア。終始互いのポジションを意識している様子がうかがえた。宮間がゲームメイクをしている際にはしっかりと後ろを固める澤。幾度となく渾身のスライディングでピンチの芽を摘んだ。そしてチャンスを見出せば前線でゴールをうかがう。

 蒸し暑さがぶり返した長崎はキックオフの19時の段階で28.6℃、湿度73%のコンディション。その中でアップダウンを繰り返しながら、澤は途中交代することなく90分間を走り抜いた。この過酷な条件下でのフル出場と、その貢献度は大きなアピールとなったはずだ。澤のみならず、一度引き際を考えていたアスリートが、再び世界を見据えることは、並み大抵のことではない。

 ところが、"もう一度世界の強豪と戦ってみたい"と、意を決して代表復帰(6月20日のニュージーランド戦)してみれば、左足付け根痛で戦線を離脱。主軸を担うなら連戦でもコンスタントにプレイできるフィジカルを備えることが大前提と思い知らされた。

 これまでなでしこジャパンを率いてきた澤ですら、日の丸を背負ったピッチに指定席はない。未知の域に踏み出さんとする澤を見極めようとする周囲の空気も感じている。これまでのようにその背中で示すことができなければ、彼女が誇りに思ってきた日の丸を胸につけることは叶わない。常に心に言い聞かせていても、ここまで実感することはあっただろうか。

 それでも澤は「楽しい90分間だった」と、この一戦を振り返った。代表出場最年長記録を更新中の35歳の澤が、新チーム作りの席取りへその身を投じるために必要だったひとつは明確な目標だった。試合後、澤は「ワールドカップ(2015年・カナダ)に行くことを目標にやっていきたい」と晴れやかな表情で公言した。

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