イラクに辛勝。日本は本田抜きでも4-2-3-1で戦えるのか?

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

イラク戦にトップ下で先発した香川真司。その手応えは?イラク戦にトップ下で先発した香川真司。その手応えは? ワールドカップ予選の最終戦となったイラク戦。ザッケローニ監督によれば、この試合の狙いは、「これまでチャンスのなかったメンバーを使い、勝ってコンフェデにつなげる」ことにあったという。

 その点では、香川真司のトップ下起用も、トライのひとつと言えるだろう。香川がトップ下で先発するのは、これが4試合目。代わって左サイドハーフに清武弘嗣が入るのは、1-2で敗れた2013年3月のヨルダン戦以来のこと。本田圭佑が欠場する場合でも4-2-3-1で戦えるのかどうか――。イラク戦は、その追試の場でもあった。

「想像以上に難しい試合でしたけど、最後はオカちゃん(岡崎慎司)が泥臭く決めてくれて、いかに戦えるかを示せたと思う」と、香川が振り返ったこの一戦。日本は暑さと風、イラクのモチベーションの高さによって劣勢に回っていた。キックオフの17時30分になっても、35度を上回る気候。グループ最下位ながら、まだワールドカップ出場の可能性が潰えていないイラクは、風下に回った日本に対し、強風を利用してロングボールを放り込んできた。

 じわじわと下げられていくディフェンスライン、セカンドボールを拾って畳み掛けてくるイラクの攻撃陣......。後方からビルドアップしてゲームの主導権を握れない日本にとって心強かったのが、香川と清武のコンビネーションによるスピーディな仕掛けだったと今野泰幸は言う。

「ふたりでシュートまで持ち込めていたし、あわや得点という場面も作れていた。特に前半は後ろからのビルドアップができなかったから、(香川)真司にボールが入ったときだけが頼りでした」

 日本の陣形は間延びさせられてしまったものの、そうして生まれた中盤のスペースでボールをキープし、ドリブルやパスで攻撃を加速させたのが香川だった。その点に関して、香川自身もある程度、手応えを感じているようだった。

「前半は風下だったので相手のロングボールが嫌でしたけど、ディフェンスはうまく対応していたし、中盤でボールをコントロールして、空いているスペースにボールをどんどん運べるようになった時間帯にはチャンスを生み出していた。良い形が作れていたんじゃないかと思います」

 だが、それでも香川の表情は、晴れなかった。自身がゲームを決められなかったこと、そして、後半の戦い方に課題が見えたからだ。

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