【名波浩の視点】ラトビア戦の「位置づけ」はどこにあったのか

  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

本田圭佑(右)、岡崎慎司(左)が得点を重ねて、2013年の初戦を飾った日本代表。本田圭佑(右)、岡崎慎司(左)が得点を重ねて、2013年の初戦を飾った日本代表。 昨年11月のW杯最終予選オマーン戦以来、およそ3カ月ぶりの実戦を行なった日本代表。ラトビアという相手のレベルは別にして、シーズン前のJリーグ組のコンディションがパーフェクトではなく、欧州組も時差調整などが難しい状況で、3-0という結果を出したことは、素直に評価できると思う。2013年のスタートとしては「上々」と言っていいのではないだろうか。

 約1カ月後にW杯出場をかけた最終予選のヨルダン戦が控え、その数カ月後にはコンフェデレーションズカップがある。W杯本番もはや来年に迫っている。そうした中、試合の位置づけやテーマをどこに置くのか、プレイする側と見ている側では大きく異なっていたと思われるこの一戦。欧州組がリーグ戦の合間にパッと来て、パッと試合をして帰るという強行軍にあって、チームとしてのモチベーション作りも非常に難しかったと思うが、試合全体の出来、内容は決して悪くなかった。

 攻撃ではより求められていたゴールへの意識、ゴール前でのしつこさ、というものを前面に出していた。特に前半は、相手がかなり引いていたにもかかわらず、ドリブル、パス、クロスなどあらゆる仕掛けを試みて、ペナルティーボックス内での崩しのイメージを誰もが強く抱いていたと思う。

 守備でも、前半はハイプイレッシャーが見事にはまっていた。さらに昨年の欧州遠征で、世界のトップレベルでは少しでも相手に時間を与えると自由にやられてしまうことを痛感。その点を踏まえて、相手との間合いを一段と詰めて対応することができていた。そして、ボールを奪う際にしても、リスクマネジメントの前に、まずは自分たちがチャレンジしていくことを前提としているため、今野泰幸や吉田麻也の反応がとても素早くなっていた。

 同様に、ボランチの細貝萌の動きも素晴らしかった。これまでの試合では、昨年5月のアゼルバイジャン戦も良かったが、それ以上に出足が鋭かったと思う。そのうえ、この日はボールを奪ったあとのイメージもできていた。自分が前に仕掛けていこう、という意識が感じられた。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る