【日本代表】福田×名波が採点する「2012年のザックジャパンは、80点」 (2ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

福田 正直、選手たちは(最終予選に対する)プレッシャーを感じていたと思う。オマーンやヨルダンは楽に勝てる相手ではないし、ホームで戦うこともかえって力が入って、やりづらい面があるからね。でも、そうした状況の中で、しっかりと勝ち切ったことは、本当に大きい。あそこで、最終予選の流れを作ったというか、勢いに乗れた。大勝すると、相手の調子が悪かったとか、あれこれ不満をもらす人もいたりするけど、日本が相手の良さを出させなかったわけで、最高の結果を出したチームは評価されるべきだと思うよ。

名波 その後、3戦目のアウェーのオーストラリア戦にしても、疑惑の判定(相手CKで内田篤人がペナルティーエリア内で相手選手を押したとしてファウルを取られる)とも言えるPKがなければ、勝っていてもおかしくなかった。結果的には、ほぼパーフェクトでしょ。11月のアウェーのオマーン戦も、出来が悪いなりに勝ち点3を取った。あれも、素晴らしかったよね。

――これだけ順調に最終予選を戦えている要因はどこにあるのでしょう。

福田 まず、選手個々の成長が挙げられる。海外のクラブに在籍する選手が多くなったけど、彼らは海外に行くだけじゃなく、日々厳しい環境の中でもまれながら、実際に試合に出ている。それが大きいよ。そこでは、いろいろなことを感じるだろうし、得るものが相当多いはずだからね。そのうえで、普段から世界レベルの選手と一緒に練習して、「自分たちだって十分にやれるんだ」という自信も深めている。最終予選のようにプレッシャーがかかる試合では、平常心で戦えるかどうかがすごく大事なことなんだけど、本田(圭佑)にしろ、長友(佑都)にしろ、いつもどおりのプレイを見せていた。それは、技術面だけじゃなく、メンタル面を含め、成長している証。彼らは、何かアクシデントが起こっても、まったく慌てないよね。そこが、今の代表チームの強みになっていると思う。

名波 欧州でプレイしている選手たちからは、代表チームに戻ってきたときには、そこで少しリラックスして(欧州に)帰ろう、という感覚がうかがえるというか、そんな余裕さえ感じますよね。

福田 ピッチの中に、本田や長友のように堂々とプレイしている選手がいると、他の選手も落ち着けるんじゃないかな。アジアの対戦国をなめているわけじゃないけれども、サッカーの怖さを知りながらも、自分たちのサッカーをやれば結果が出せる、そんな意識でいるよね。

名波 そういう意味でも、欧州組が「向こう(欧州)にいる価値」を代表チームに還元してくれているのは間違いない。川島(永嗣)や本田、長友や(吉田)麻也など、欧州のクラブでいつも試合に出ている選手は、日本の他の選手から見れば、憧れの存在であり、身近な目標なわけでしょ? 彼らの発言や立ち振る舞いを通して、いろいろな影響を受けるのは自然だし、それが今の代表チームにいい効果をもたらしていますよね。

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