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【なでしこ】 「奇跡の16歳」土光真代。
女子高生DFは名門でレギュラー定着を狙う (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by AFLO SPORT

2月の各年代代表が集まった合同合宿でも存在感を見せた土光 photo by Sugimoto Tetsuhiro/AFLO SPORT2月の各年代代表が集まった合同合宿でも存在感を見せた土光 photo by Sugimoto Tetsuhiro/AFLO SPORT 準決勝のドイツ戦では、試合開始直後の1分に、ショートカウンターから裏を取られて失点。ここから立ち上がりの早い時間に合計3点を奪われ、結果は0-3の完敗。個人の能力に加えて、組織力でもドイツが一枚上手だった。

「とにかくスピードがすごかったことと、ドイツの選手はキック力もあったので、予想していないところからロングボールを蹴ってきたり、タイミングも予測できなくて......。それでやられてしまいました。しかも相手のFWが嫌な位置にいてポジショニングがうまいので、マークにつきにくかったです。

 ドイツ以外のチームはどちらかというと足もとの技術というより、ロングボールやスピード重視だったんですが、ドイツの選手は足もともうまくて、スピードもありました。それに、ドイツはパススピードが速くてびっくりしました! 選手の距離感も、狭いときもワイドに広くするときもあって、使い分けがうまかったです。U-16のときはパスで崩せていた部分も、U-20ではパスが通らなかったり、スピードの部分で対応が全然できなかったり、ということがありました」

 しかし、そんな課題や悔しさも含めて、土光は大舞台で貴重な経験を積んだ。大会を通じてフル出場したのは、MF猶本光、GK池田咲紀子(ともに浦和)、そして土光の3名。ヤングなでしこでキャプテンを務めた藤田のぞみ(浦和)は、土光について、「1試合やった次の日にもう一試合できるぐらいの体力がある」と驚いていた。

「大会では試合の間隔が3日間あったので、全然平気でした。楽しかったので、もっと試合がしたいなって思っていましたね。あんなに大勢のお客さんの前で試合をするのは初めての経験で、試合を重ねるにつれてお客さんがどんどん増えていった(3位決定戦のナイジェリア戦の観客数は2万9427人)のはうれしかったです」

 そして、このU-20W杯で得た経験をクラブに持ち帰り、リーグ戦終盤は右サイドバックでも出場。チームはなでしこリーグカップで優勝し、カップ戦王者として国際女子クラブ選手権に出場した。

 大会では、ベレーザは欧州女王リヨン(フランス)に2-5と敗れたが、次のキャンベラFC(オーストラリア)に4-3と競り勝った。土光は、フランスやオーストラリアの代表選手たちとのマッチアップで、さらに上のレベルを体感した。

「(リヨンは)強くて速くてうまくて、(自分は)まだまだなんだなと実感しました。ボールが足もとに入ってからもそうなんですけど、全員前に進むスピードがありました。立ち上がり10分、20分で耐えなければいけないのはU-20ワールドカップでもすごく感じたことだったので、また同じように失点して(経験を生かせなくて)もったいなかったです。自分が取りきれると思ったところで足が出てきたり、パスが通らなかったり、今までの相手とは全然違いました。

 クラブチームとして世界の強豪とやれるというのは初めてのことだったので、今までやっていたサッカーがどれだけ通用するかというのを試せた場でしたが、本当にまだまだだなと」

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