2012.12.10

【日本代表】中村憲剛「ボランチでプレイする準備は常にできている」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

欧州遠征では、フランス戦、ブラジル戦ともに出場した中村憲剛。ブラジルW杯まで548日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第10回:中村憲剛(後編)

 ブラジルW杯最終予選で圧倒的な強さを見せ続け、アジアでは頭ひとつ抜けた存在になったと言っても過言ではない日本。だが、世界を相手にしてどのくらい戦えるのか、選手たち自身も自らの本当の力をつかみあぐねていた。その力を知る絶好の機会となったのが、10月の欧州遠征。世界的な強豪のフランスとブラジルと対峙した2試合である。中村憲剛は、その2試合から日本の進化と課題をどう捉えたのだろうか。

「まだまだっすね」
 開口一番、中村はそう言い放った。

 フランスには1-0の辛勝、ブラジルには0-4と大敗した。どちらの試合でも力の違いを感じたという。

「アジアでは、まず自分たちが主導権を握って、ボールを保持して戦うところからスタートするんですけど、フランスもブラジルも、それをさせてくれなかった。特にフランスは、開始直後から畳み掛けてきて、ボールを持つのがままならない状態だった。中盤の選手は決してうまくはなかったけれども、身体能力が高くて、寄せのスピードは半端ないものがありました。そこでちょっと捕まったりすると、前に行きにくくなったり、(前線への)パスを狙いにくくなったりした。ザッケローニ監督は試合後、(日本の戦いぶりを)「シャイだった」と表現していましたけど、確かにそんな感じで、気後れというか、(フランスという)相手を意識し過ぎてしまって、終始フランスのテンポでやられた。アジアではなかなかできない経験でしたね」

 前半のフランスの猛烈なプレッシャーは、日本の出鼻を挫いた。だが、W杯本番では、このくらいの勢いでくることは十分に想定できる。後半、日本は盛り返したとはいえ、相手が本気で仕掛けてきた前半に何ができるかどうかが、日本の力を知るための一番のポイントだったのではないだろうか。

「日本は本来、あのプレッシャーをいなせるだけの力はあると思うし、落ち着いてボールを回すこともできたと思う。しかし、相手のプレスが想像以上に厳しい中、雨でぬかるんだピッチに気を使って、ボールコントロールにも注意を払わなければいけなかった。その時点で『まだまだ』ということです。リベリーとかベンゼマとか、そんな悪条件なんて関係なくプレイしていましたからね。失点をゼロに抑えたのは良かったけれども、この内容では『10回やって、1、2回しか勝てない』と、選手みんなとも話し合った。もっとボールを大事にして、冷静にプレイしないといけなかったと思います」