【なでしこ】ベレーザ再生を担う、キャプテン岩清水梓とベテラン小林弥生 (3ページ目)
かつては女王の座に君臨し続けたベレーザも、経営難から澤穂希、大野忍、近賀ゆかりら代表選手をINAC神戸へ放出し、大儀見(永里)優季はドイツへ、宇津木瑠美はフランスへ移籍。黄金期を支えたベテラン勢は引退し、大幅な戦力ダウンで、若手中心のチーム作りへシフトせざるを得なくなった。
そんな状況で、小林の頭に"引退"の二文字がよぎったのは去年のこと。しかし、このままチームを去る訳にはいかないと留まり、チームメイトを鼓舞し続けた。若い選手の成長もあって試合に出場できない日々もあった。そんなときは悔し涙を隠そうとしない。いつでもサッカーに対して正面から向き合ってきた。そんな彼女のためにチームはひとつになった。
若手の未熟さをベテランが補い、経験を語り継ぐ。バランスが崩れかけたときは、話し合って全員で立て直す。こうしたコミュニケーションを築けているチームは、実は少ないのではないだろうか。ベレーザの新たな可能性を感じずにはいられない。
ベレーザは、9月のなでしこリーグカップでは接戦の末、INACを下して優勝を手にした。リーグ戦では自力優勝の道は途絶えたが誰ひとりあきらめてはいない。
「私たちは残りの試合をすべて勝つことだけを考えます!」最後に岩清水はこう言い切った。
女王の座を奪還するために生まれ変わったベレーザ。緑の誇りを胸に、一歩ずつ、けれど確実に成長を続けている。再び王座につく日は、そう遠くないに違いない。
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