【なでしこ】ベレーザ再生を担う、キャプテン岩清水梓とベテラン小林弥生 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 そしてロンドン五輪後、なでしこリーグは終盤に差し掛かり、INACを猛追しなければならないはずのベレーザは泥沼に引き込まれてしまった。2試合連続のドローなどもあって勝ち点差をつめられず、王座奪回を狙っていたチームにとっては大きく響いた。

「先制しても追いつかれて、そのまま引き離せずにっていう展開に、チームの雰囲気は重くなっていった。みんなに伝えなきゃいけないけど、何をどうやって伝えればいいのか......。本当に難しい」(岩清水)。

 苦しむ岩清水を救ったのは、アテネ五輪で活躍した元なでしこジャパンの小林弥生だった。10月21日第15節の湯郷ベル戦はベレーザが引き分け以下でINACの優勝が決まるという追いつめられた状況。絶対に勝たなければならない試合を前に何とか嫌な流れを断ち切ろうと選手たちを集めた小林の姿に、改めて感謝と尊敬の念を抱いたという。

「チームの中でいちばん歴史を知っていて、ここぞって時にサラッと放つ言葉とか、すごく説得力があるんです。私はどちらかと言えばプレイで引っ張りたい方なんですけど、少しでも弥生ちゃんみたいにできるようにしなきゃって思います」(岩清水)。

 湯郷戦で途中出場した小林は、1点差につめ寄られた直後、勝利を決定づけるゴールを挙げた。この日は小林がリーグ通算200試合を達成したメモリアルゲーム。終了後、選手たちは彼女のイラストがプリントされた記念Tシャツを全員で着て祝った。小林は「200試合も試合に出られたことは宝物。みんなと一緒にやってこられたことが本当に幸せです」と目を潤ませた。

「今日は弥生ちゃんのためにってみんなが想ってた。試合の流れも変えられて、ピッチの中でも外でも本当に素晴らしい人。私は弥生ちゃんをはじめ、経験豊富な人がいてくれるからキャプテンをやれている。まだまだ足りないことだらけだけど、みんなに助けてもらいながら、チームを支えられたらいいなって思います」(岩清水)。

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