【なでしこジャパン】全6試合を総括。この悔しさが未来につながる (3ページ目)
迎えた決勝トーナメント・ブラジル戦はさらに苦しかった。防戦一方で、今度はなでしこのボール回しが全く通用しない。結果、ベタ引きとなり、最終ラインがどうにか跳ね返す展開だった。その中で大儀見優季ら攻撃陣が得点できたことは大きく、苦しい試合を勝利したことで、選手たちにはようやく笑顔が見られた。
センターバックとともに右サイドバックで体を張った近賀ゆかりが言う。
「1次リーグは結果とともに内容も求めたかったから、内容がついてこなくて苦しかった。今日、ブラジルという相手に勝てて本当に嬉しい。どうしても金メダルが欲しい」
この頃から、チームからは「メダル」ではなく「金メダル」とはっきりした目標が聞こえてくるようになった。
準決勝のフランス戦は、ブラジル戦に輪をかけて苦しめられた。ブラジルよりも、縦へのスピードやパワー、高さがあり、クオリティも高い。日本が最も苦手とするタイプだ。
2点を先制したことで相手はパワープレイに出てきた。足も止めず攻め続けてきたが、なんとか1失点に食い止めた。この試合で銀メダル以上が確定。選手たちが喜び踊りだす様子は、まるで優勝を決めた後のようでもあった。
この試合はGK福元に助けられた試合でもあった。何度も何度も好セーブを繰り出した彼女には、佐々木監督と澤穂希が「神様ですね」と声を揃えた。
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