【五輪代表】ホンジュラス戦で『二兎』を手にした関塚ジャパンの光明 (2ページ目)
メンバーを変えず、確実に1位通過を狙うのか。あるいはメンバーを入れ替え、主力を休ませるのか。はたして関塚隆監督が選択したのは、後者だった。試合後、指揮官はメンバーを入れ替えた理由について、こう話している。
「ひとつ目は、全体の出場時間の多い選手を休ませること。ふたつ目は、ユーティリティーさを含めて(控え選手が)どれくらいできるか見たかった」
この選択は吉と出た。
モロッコ戦から先発メンバーを5人入れ替え、不慣れなメンバー構成となったものの、試合は0-0の引き分け。主力を休ませるとともに1位通過を果たすという、「二兎」を得ることに見事成功した。
試合内容は決してほめられたものではなかった。日本もホンジュラスも決定機がほとんどなく、0-0で引き分けるには持ってこいの試合となったわけだが、日本が意図的に"試合を壊した"と見るのは、少々買いかぶりが過ぎるだろう。とりわけ、立ち上がりの戦いは不安定だった。
守備では、ボールの奪いどころが定まらず、パスをつながれて後手に回る展開に。また、ボールを奪っても、攻撃に出ようとする1、2本目のパスでミスが目立ち、相手にチャンスをプレゼントしてしまうことも多かった。厳しい指摘をするのは、吉田麻也である。
「メンバーが入れ替わって、連携のところでミスが増えた。立ち上がりはボールの失い方もよくなかったので、カウンターを受けてシュートまで行かれる場面があった」
とはいえ、吉田が「そこ(立ち上がりのピンチ)をしのげたのが、今日のひとつのポイントだった」とも話したように、言い方を変えれば、これまであまり出番のなかった控え組が、苦しみながらも五輪という舞台に慣れることができたのは、むしろ収穫だったとも言える。
例えば、この試合では、所属の鹿島でセンターバックを務める山村和也がボランチに、同じく清水ではボランチの村松大輔が右サイドバックに起用された。どちらも試合序盤はどこか落ち着かず、ミスが目立っていたものの、時間の経過とともに、次第に堂々とプレイできるようになり、後半はチャンスに絡むシーンも多くなった。それはこのふたりに限らず、チーム全体に言えることだ。
2 / 3