2012.07.28

【なでしこジャパン】スウェーデン戦でもカギを握る澤の出来

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by JMPA

カナダ戦にフル出場、日本を勝利に導いた澤 なでしこジャパンのまぎれもない中心は澤穂希。カナダ戦でのプレイはそう実感せざるを得ないものだった。得点こそなかったが、初戦にぴたりとコンディションを合わせてきた集中力は並大抵のものではない。年齢を重ね、主将の座を後輩に譲った今もなお、彼女の存在感の大きさにあらためて驚かされる。

 その澤が良性発作性頭位めまい症に悩まされたのは2月、アルガルベ杯の最中のことだった。その後、帰国してもすぐにリーグ戦復帰とはいかず、しばらく時間がかかった。昨年W杯で優勝してからは何かと取り上げられることも多く、心身がバランスを崩してもおかしくない、そんな危うさを常に抱えているように見えた。休養が必要なことは明らかだった。

 6月18日のアメリカ戦でようやく代表復帰。五輪に本当に間に合うのか。間に合わなかった場合、澤抜きのなでしこはどうなるのか。そんな議論も起きた。代表戦でのフル出場が実現したのはつい最近、7月19日に行なわれた最後の強化試合、フランス戦のことだ。それも完全な状態とは言いがたかった。どのシーンにも顔を出す運動量と、その中で一瞬のチャンスやピンチを察知する力に長けているのが澤だが、そのプレイは彼女らしくなかった。

 そんな流れがあったからこそ、カナダ戦の好プレイは光るのだ。立ち上がりから、運動量とみなぎる気合いは他の選手を圧倒していた。前半5分にはチームとしてのファーストシュートを放つ。これは枠を超えたが、チームがリズムを持って攻撃を始めるきっかけとなった。