【五輪代表】スペインに完勝。「マイアミ――」とは次元が違う『グラスゴーの奇跡』

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

積極的な守備でスペインの攻撃を封じた日本。大津祐樹のゴールで見事な勝利を飾った。積極的な守備でスペインの攻撃を封じた日本。大津祐樹のゴールで見事な勝利を飾った。 この日の主役は、あくまでスペインだった。

 世界チャンピオンがやってくる――。2年前のワールドカップを制し、先ごろのEUROでも連覇を果たしたばかりのスペインがロンドン五輪に登場するとあって、会場となったグラスゴーのハンプデンパークには、試合前からそんな浮ついたムードが少なからず漂っていた。スタンドにつめかけた人の多くはスペインを見るのを楽しみに、この試合に足を運んでいたと言ってもいいだろう。

 とはいえ、そうした人たちのすべてがスペインの勝利を望んでいたかというと、それは必ずしも正しくない。

 むしろ王者の強さを認めるからこそ、日本がひと泡吹かせるところを見たい。そんな期待を持って、この試合を見ている人も決して少なくはなかったはずだ。事実、日本が目の肥えたサッカーファンの心をつかむまでに、さほどの時間はかからなかった。

 王者スペインを前に日本が選んだのは、守備的な戦い方だった。ただし、後ろに下がって失点を避けるだけの「守備的な守備」ではなく、あくまでスペインを叩くための「攻撃的な守備」である。

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