【なでしこジャパン】白星発進!川澄、大野のポジションを変えた意味

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by JMPA

先制ゴールを決めた川澄と駆け寄る宮間先制ゴールを決めた川澄と駆け寄る宮間 なでしこジャパンが2-1でカナダを下し、悲願のメダル獲得に向け、白星スタートを切った。

 序盤こそ固さが見られ、カナダに押し込まれる場面があったものの、そこを凌ぐと、いずれも左サイドを基点とした攻撃で、33分に川澄、44分に宮間と前半に2点を奪取。後半は粘るカナダに1点を返されたが、ゲーム内容は危なげなく、W杯王者としての貫録を見せる勝利となった。

 佐々木監督は勝因について、まず「カナダよりも全員が走り切れたこと」とし、前線からのチェイシングがしっかりしたことにより守備ラインが安定したことを挙げた。

 後半、1点を失った場面を振り返れば、左サイドで鮫島が数的不利な状況のなか、一発で飛び込んでかわされ、最後はクロスに対して近賀が前を取られるなど、攻撃力が売りの両サイドバックのウィークポイントが浮き彫りとなった。とはいえ逆にいえばそれが唯一のピンチともいえた。

 警戒していた代表通算137ゴールのカナダの大エース、シンクレアに対しては、岩清水、熊谷が見事な対応を見せて完封。シュート1本しか打たせなかった。

「相手のレベルがそこまで高くなかったので、失点にはつながらなかったっていうのはあります」(大儀見)

 もちろんカナダの実力が劣っていたというのはあるが、それでもFIFAランク3位の日本に対してカナダは7位。独特の緊張感を伴う五輪の初戦ということを考えれば、失点後もバタバタと慌てるシーンがなかったことは評価すべきだろう。

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