【五輪代表】守備の安定感が増しつつあることを見せたメキシコ戦

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by GettyImages

途中出場ながら後半42分、勝ち越しゴールを決めた大津途中出場ながら後半42分、勝ち越しゴールを決めた大津 U‐23日本代表が、ロンドン五輪前最後のテストマッチで、同じく五輪に出場するU‐23メキシコ代表に2-1と勝利を収めた。

 メキシコは日本が1次リーグで敗退した5月のトゥーロン国際で優勝を飾ったほか、ロンドン五輪でもシード国であり、メダル獲得の有力候補に挙げられる好チーム。日本が本大会の初戦(26日)で対戦するスペインと見立てて戦うには十分な相手と考えられた。

 そのメキシコに対して立ち上がり、相手のミスに乗じて清武、永井とつないで最後は東が決めて先制すると、一度は同点に追いつかれたものの、87分に途中出場の大津が鮮やかなボレーを決めて2-1と劇的な形で勝利を手にした。

 ただしこの勝利という事実だけをもって、五輪へ臨む日本の立場に変化があるかといえばそうではない。勝つには勝ったが、あくまでテストマッチ。互いに調整段階であるだけに、この結果を鵜呑みすることはできないだろう。

 この3日前の18日にスペイン国内でU-23スペイン代表とのテストマッチ(0-1と敗戦)を行なっていたメキシコは、疲労も考慮して、この日本戦を完全にコンディション調整の場ととらえていたことを忘れるべきではない。

 そんなメキシコを相手に、日本はスコアでこそ上回ったものの、序盤から腰が引けた戦いを演じ、ボール支配率で圧倒された。ボールを奪っても、得点になった場面以外では、有効な攻撃をほとんど見せることができなかった。

 おそらく日本の選手は、メキシコが相手ということで必要以上にリスペクトしすぎてしまったのだろう。その分、ボールを失った際の帰陣は早く、守備が大きく崩壊することはなかったが、ボールを奪ってからの展開には大きな課題を残したといえる。

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