【五輪代表】スペインに完勝。
「マイアミ――」とは次元が違う『グラスゴーの奇跡』 (2ページ目)
オーバーエイジ枠でチームに加わったDF徳永悠平は、「(スペインに)ボールを持たれるのはわかっていた」と言い、こう話す。
「(永井)謙佑が、ほんとにハードワークしてくれた。みんな高い集中力を保って、前線からの守備をがんばってくれたおかげで、こういう展開になったんだと思う」
徳永が振り返ったように、日本はFW永井を筆頭に、前線から積極的に相手ボールを追いかけ、スペインのパスワークを分断。これによってスペインのミスを誘い、高い位置でボールを奪うと、逆にカウンターでゴールへ迫る。そうした好循環を「攻撃的な守備」から作り出した。
日本も意外とやるじゃないか――。試合開始から10分と経たずに、スタンドはそんなムードに包まれていった。立ち上がりからチャンスを作っていた日本が先制したことも、それまでの流れを見ていれば、決して意外な展開ではなかった。
自身のゴールについては「試合前から自分がゴールを決めて勝つことしか考えていなかった」と、興奮気味に語る大津祐樹も、こと守備に関しては冷静に言葉をつなぐ。
「相手に(ボールを)回されているっていうより、回させているって感じだったから、全然焦(じ)れなかった。ああいう戦いをしようというのは、最初から決めていたし、オレらは(守備の)網を張るって(いう意識で)統一されていた」
日本にとっては、大会前にメキシコと対戦できたことが奏功したと言える。相手にボールを持たれても、我慢して守備をするという展開に慣れただけでなく、ボールを奪ったらシンプルに速い攻撃へつなげる、という戦い方が徹底されたからだ。
この日のスペインはそもそも運動量が少なかったことに加え、退場者を出したことで、日本の積極的な守備の前に、絶望的なまでにパスコースが作れなくなった。
にもかかわらず、焦(あせ)りから強引にパスを通そうとしてミスを連発。ほとんど決定機を作れなかったスペインに対し、日本はそのミスに乗じて決定機の山を築いた。
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