【日本代表】清武弘嗣「自分にとって、一番の課題はメンタル」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 自分の弱点が明白だからこそ、克服できない悔しさが込み上げてくる。メンタルの弱さを改善する術は、経験を重ねること以外にないのだろうか。

「う~ん……、いろいろな経験を積むのが、やっぱり一番だと思うんですよ。圭佑くんも真司くんも、さまざまな経験をして今の姿があるわけじゃないですか。例えば、真司くんは南アフリカW杯ではバックアップメンバーだったし、アジアカップでは怪我をして苦しんだ。そういうのを乗り越えて人間的に大きくなったと思うし、気持ちも強くなれると思うんです。だから、経験が大きいと思うんですけど、あとは……自信っすかね」

 日本代表では、いつも危機感を抱きながらのプレイを強いられている清武にとって、自信を育むのは容易なことではない。だが、これからドイツで活躍し、経験を積めば、自分に自信を持てるようになるかもしれない。

 香川も「海外では、みんな自己主張が激しい。それをかいくぐりながらプレイして、結果を出し続ければ、自然と自信もついてくる」と語っている。

 清武の成長のカギは、それを実行できるかどうか、である。

「自分には、思っているほど時間はないんですよ。メンタルも技術もレベルアップしないといけないことがたくさんあるけど、一気にすべてを上げたい。それは、ロンドン五輪でメダルを獲ることだったり、ドイツでレギュラー争いに勝っていくことだったり、そうやって結果を残すことで可能だと思うんです。そうすれば、自信もつくと思うんですよ。そして、真司くんに追い付き、追い越すのが、今の目標っすね」

 22歳・清武の掲げたミッションは、どれも簡単ではない。だが、だからこそ、やり遂げたとき、自分の中に宿るものの大きさを感じることができるのだろう。それが清武にとって、か弱いメンタルを克服し、日本代表で本田や香川と並んでピッチに立つための、唯一の道になる。


清武弘嗣(きよたけ・ひろし)
1989年11月12日生まれ。大分県出身。大分トリニータの下部組織で育ち、2008年にトップデビュー。2010年、セレッソ大阪に移籍し、中心選手として活躍。2011年には日本代表デビューも果たした。そして今夏、ドイツのニュルンベルク入りし、さらなる飛躍が期待される。Jリーグ通算97試合出場17得点。国際Aマッチ出場7試合0得点。172cm、66kg

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