2012.07.06

【日本代表】鈍足だった岡崎慎司、躍進の原動力は「走りの進化」にあり

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

今やザックジャパンに欠かせない選手となった岡崎慎司 所属するドイツ、ブンデスリーガのVfBシュツットガルト、そして日本代表でも高い評価を勝ち取っている岡崎慎司。今となっては信じられないことだが、2005年の清水エスパルス入団時の評価は低く、将来を嘱望された選手ではなかった。その彼がここまで躍進を遂げた理由のひとつに、綿密に計画されたトレーニングで「走り方」を改善していた事実があることはあまり知られていない。
 
「岡崎はもともと運動能力が高くありません。加えて相手のボールを奪って攻撃に転じようと考える選手ですので、接触プレイは避けられない。だから速さだけでなく転ばないバランスのとれた走り方を目指してトレーニングしてきました」

 そう語るのは杉本龍勇(すぎもと・たつお)氏。岡崎がエスパルスでプレイしていた時のフィジカルトレーナーであり、現在も個人契約を結び、コーチングを続けている人物だ。

 岡崎への個人的な指導が始まったのは2006年の冬から。このオフ、杉本氏はチーム全員に対し、「もっと速く走りたいと思う選手、もっと自分のイメージ通りに動きたいと思う選手は自分に声をかけて欲しい。そのためのプログラムを一緒に考え、オフの間から取り組んでいこう」と伝えている。それに真っ先に反応したのが、自他共に認める”鈍足”の岡崎だった。

「彼は足をベタッと着き、しかも重心移動の遅い走りをしていました。足の遅い人はカカトから足をついて、つま先まで抜けるのにすごく時間がかかるのが特徴です。岡崎はまさにその典型でした」

 問題は「がに股」な歩き方、そして体を直立させると肩だけ前に出てしまう「猿肩」の姿勢だった。重心が不安定で体のバランスが取れていないため、筋肉の動きが走りのエネルギーに直結できていない。その力の伝達をスムーズに行なうため、杉本氏は立ち姿勢からスタートし、歩き方、そして走り方へと段階的に矯正していくことになる。