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【なでしこジャパン】 アルガルベカップ初戦は辛勝。
攻撃の可能性を探り続ける新キャプテン・宮間あや (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

 しかし、勢いを取り戻すことはできず、後半立ち上がりもノルウェーに攻め込まれてあわやというシーンもあり、その後もかみ合わない連係はなかなか改善されない。極力指示を出さず、我慢して静観していた佐々木則夫監督が思わず頭を垂れる場面もあった。

 徐々にノルウェーの足が止まり始めた65分、「積極的に打ってよかった」と振り返る川澄奈穂美が放ったシュートは、威力こそなかったが相手DFに当たってコースが変わってゴール。直後に佐々木監督はDFの有吉沙織と田中明日菜を投入。続けてFWの高瀬愛実、ラスト8分では初招集の京川舞、そして伊藤香菜子もピッチに送り出し、新戦力とベンチスタートの選手にも"世界レベル"を体感させた。

 そのまま1点のリードを守り抜き、日本は第1戦をなんとかモノにしたが、試合後、選手たちに笑顔はなかった。

「今年初めての試合。いろいろ課題もあるけど、悲観はしていません」と言い切ったのはポルトガルに入ってから新キャプテン就任が発表された宮間。誰よりも声を出し、盛り上げ役をしてきた宮間は適任であり、澤穂希からキャプテンを引き継ぐことは必然だった。周りの選手にも「次(のキャプテン)はあや(宮間)」と認識されていたことでもあり、これまで何度もゲームキャプテンを務めてきた宮間本人にも違和感はない。

「ドイツでのワールドカップが終わって、監督とも話をした。今後のことを考えたら宮間が一番いい。私も心強いですしね」と前キャプテンの澤も全幅の信頼を寄せている。

 宮間の視野の広さはこれまでの活躍ですでに立証済みだ。この試合でも、宮間が起点になった攻撃パターンでは、それぞれ微妙に変化をつけたパスを繰り出すと同時に、積極的にサイドチェンジをして攻撃の可能性を探り続けた。

 また、ピッチを離れても全体を俯瞰(ふかん)するスタンスが変わることはない。元気のない若手がいれば話を聞き、喝の足りない選手には檄を飛ばす。

「(今日は)いい内容だったとは思っていません。でも、今はこういう試合をする時期。ここからです」と淡々と語りながらも、決意の表情が見て取れた。

 多くの課題は残したが、まずい内容ながらも初戦で結果を残すあたりはチームの成長の証といえる。まだ始動したばかりのなでしこジャパンにとって、トライすべきことは山積している。次戦は3月2日、デンマーク戦。どのようなパフォーマンスを見せることができるのか、注目したい。

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