【プロ野球】5球団競合の逸材はなぜ苦しんだのか? 2016年ドラフトの答え合わせで浮かび上がった「最大の勝者」は? (3ページ目)
広島3位の床田寛樹(中部学院大)は、左腕エースとして通算175試合に登板し、65勝を積み上げている。今季国内FA権の取得条件を満たしており、権利行使に注目が集まる。
ロッテ6位の種市篤暉(八戸工大一高)は、侍ジャパンの一員として今春のWBCに出場。ただ、4月の試合中に左アキレス腱を断裂。来季の完全復帰が待たれる。
【4位指名から生まれた世界のエース】
そして、この年の「ドラフトキング」は、オリックス4位の山本由伸(都城高)だろう。高校時代こそ甲子園出場の経験はないが、「九州四天王」の一角として早くから注目を集めていた。
1年目にプロ初勝利を挙げると、2021年から2023年まで3年連続で投手4冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率)、沢村賞、パ・リーグMVPを受賞。2022、2023年には2年連続でノーヒットノーランも達成した。NPB通算は7年で70勝29敗、防御率1.82。
2024年からドジャースに活躍の場を移すと、メジャー2年目の2025年ワールドシリーズ第2戦で9回1失点の完投勝利。負ければ終わりの第6戦では6回1失点、さらに中0日で臨んだ第7戦は9回途中から登板して2回2/3を無失点に抑え、シリーズ3勝を挙げてMVPを獲得。日本選手としては2009年の松井秀喜以来2人目、日本人投手としては初のワールドシリーズMVPとなった。
金本知憲、イチロー、青木宣親、近藤健介ら、ドラフト4位から球界を代表する選手へと成長した例は少なくないが、山本も例外ではなかった。
5球団が競合した田中正義や佐々木千隼ではなく、4位指名の高校生が世界最高峰の舞台で頂点に立つ。指名時の評価と、その後の実績は必ずしも一致しない。ドラフトの奥深さを、これほど雄弁に物語る存在もいないだろう。2016年の「ドラフトキング」は、文句なしで山本由伸だ。
著者プロフィール
内田勝治 (うちだ・かつはる)
1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう
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