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【プロ野球】「悔しい、苦しい、情けない...」山田哲人が戸田で過ごした日々 若き燕たちも目指す「もう一度、神宮へ」

  • 島村誠也●文 text by Seiya Shimamura

ヤクルトファーム 灼熱の戸田物語(後編)

 ヤクルト二軍の戸田球場には、それぞれの「もう一度」がある。一軍で数々の栄光をつかんできたベテランも、初めてその壁にぶつかった若手も、まだ一軍で一本のヒットも打っていない期待の大砲も、目指す場所は同じだ。

 プロ16年目の山田哲人は「悔しい気持ちもあるし、苦しい気持ち、申し訳ない気持ち、情けない気持ちもあるし、もどかしさもある」と今の自分と必死に向き合い、高卒2年目野手のモイセエフ・ニキータと田中陽翔は、もう一度、神宮球場の舞台に立つためにバットを振り続けている。

8月22日の中日戦で今季一軍初出場を果たしたヤクルト・山田哲人 photo by Sankei Visual8月22日の中日戦で今季一軍初出場を果たしたヤクルト・山田哲人 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【2年目に生まれた心の余裕】

 8月9日、ニキータはチームの遠征から離れ、戸田球場での残留練習でフリー打撃やロングティーなどに取り組み、バットを振り込んだ。

「自分の持ち味は引っ張った時の強い打球なのですが、逆方向への打球は強さがまだまだなので、そこを課題に取り組んでいます。去年、ムネさん(村上宗隆/ホワイトソックス)を見た時はすごいなと思いましたね。逆方向に強い打球をカチーンって。そこを目指しているのですが、なかなか難しいですね」

 今年のニキータを見ていて印象に残るのは、落ち着いて黙々と練習に取り組む姿だ。

「去年は文句ばかり言ってました(笑)。もうちょっと打てるイメージだったのですが、あまりにも思うようにいかなくて、『これでやっていけるのか』という焦りがありました。今年はちょっと結果が出るようになって、心の余裕じゃないですけど、それがあって落ち着いていられています」

 昨年は二軍で56試合に出場し、打率.136。175打席で54三振を喫し、期待された本塁打も4本にとどまった。一軍出場はなかった。今年はここまで(8月24日現在、以下同)二軍で59試合に出場し、打率.256、4本塁打。三振は212打席で35個と大きく減少している。魅力は力強いスイングと、耳にするだけで怖さを覚えるほどの打球音だ。

「体の強さも自分の持ち味なので、ウエイトにしっかり取り組んで、体重は落とさないように。そこは常に心がけて、どんどん上げていきたいですね。打率も残して長打も打てる。そういうバッターが理想像です。なので、やることはたくさんありますね。打率は.250以上で終わりたいですし、ホームランはもう1本出れば(笑)」

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著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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