【プロ野球】「142イニングと143イニングはまったく違う」ヤクルト・奥川恭伸が青柳晃洋の助言でつかんだ"新しい自分" (4ページ目)
【規定投球回は本当のスタートライン】
現時点で、奥川は規定投球回到達まであと49回2/3。青柳は「投げること自体はもうできているので、ふつうにチャンスをもらえれば、軽くクリアできるところまで来ています」と期待を寄せる。
「逆に言えば、自分のコンディションさえ落とさなければということです。シーズンが進み、前半戦と同じルーティンを続けているだけでは、どうしてもしんどくなる部分が出てきます。ヤスが普段から一生懸命トレーニングしている姿は、僕がヤクルトに来た時からずっと見てきました。だから、やらないと気持ち悪いという感覚になるのもよくわかります。
でも、シーズン終盤で一番大事なことは、ベストコンディションで試合に臨むこと。打たれたり、短いイニングで降板したりすると、いつも以上に練習を頑張ろうと思いがちですけど、そういう時こそ自分のコンディションと向き合って、メニューを柔軟に変えたり、休む勇気を持つことも大事だと思って、僕はやってきました」
今シーズンの奥川のピッチングは、すばらしい日もあれば、「今日は大反省です」という試合もある。それでも確かなのは、これまでの奥川ではないということだ。今まさに、「シン・奥川恭伸」が誕生しようとしているところなのである。そしてその「シン」は、"新"なのか"真"なのか。
「今シーズンが終わって、規定投球回に到達できましたとなれば、そこからようやくスタートラインに立てたと思える感じなので、今は新しいほうのシンですね。前はよかったとか思わないように、過去はすべて流して、その日その日で新しい自分探しをしています。"新"を創り上げてから"真"につながっていくと思うので、そのために目の前の試合も、数年後も見据えながら過ごしたいなと。そうすれば通算1500イニングも見えてくると思っています」
シーズンも終盤に突入。奥川は143イニングに向かって、「まずはハイクオリティスタートを目指し、最低でもクオリティスタートを達成し続けたい」と語り、残りの登板でも、自らに課した役割を黙々と果たしていくつもりだ。
著者プロフィール
島村誠也 (しまむら・せいや)
1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。
フォトギャラリーを見る
4 / 4





































