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【プロ野球】「142イニングと143イニングはまったく違う」ヤクルト・奥川恭伸が青柳晃洋の助言でつかんだ"新しい自分" (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Seiya Shimamura

 奥川は「完封はたまたまうまくいっただけです」と言って、こう続けた。

「映像を見れば見るほど、対等に戦える相手じゃないと思いました。でも小細工せず、自分のいいボールでどこまで立ち向かえるか。その気持ちで投げました。打線の質は本当に高かったですし、『そこまで飛ばすんですか』という打球もありましたけど、いい意味で開き直れましたし、やりがいがあって楽しかったです」

 この試合では、9回に152キロを計測。初回から攻めの投球を続けながら、最後まで球威を落とさずに投げきるスタミナも証明してみせた。

「正直、『よく9回まで持ったな』という感じでした。投げている間は、いつもよりきつかったですけど、結果的に最後まで投げきれたので、自信になりました。あれだけ最初から飛ばしても9回までいけるんだというのは、うれしい収穫ですね」

【奥川を変えた青柳晃洋のひと言】

 ここまで奥川がオフやキャンプで積極的に投げ込みを行なってきたことに触れてきたが、そのきっかけとなったのは、昨年7月に途中入団した青柳晃洋の「ボールに触っている時間が短いんじゃないか」というひと言だった。

 青柳は、その時の奥川とのやり取りをこう振り返る。

「肩やヒジは消耗品と言われますが、上手に投げれば、たくさん投げられます。そのためには、軽く投げながらいいボールを投げる練習が欠かせません。でも、その練習はボールに長く触っていないとできないんです。ヤスと話していると、ブルペンでも『エイヤーッ』と力を振り絞って投げるような感覚だったので、『もっと普段から球数を投げたほうがいいんじゃないか』と伝えました」

 青柳はここまでの奥川について、「これだけ投げ続けられていること自体が評価されるべきだと思います」と語る。

「球数が増えても球威が落ちないのは、練習の成果でしょうし、そういう投げ方を身につけたんじゃないかと、僕は勝手に思っています(笑)」

 さらに「僕も規定投球回を続けられたのは4年くらいなので、何とも言えないですけど」と前置きし、次のように語った。

「142で終わるのと、143イニングに届くのとでは、ピッチャーにとってまったく違います。それを毎年継続するのは、もっと難しいことです。ヤスは苦しい戦いが続いていますが、いい成績で規定投球回に到達してほしい。そのために何が必要なのかを考えながらシーズンを戦ってほしいですね」

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