検索

【プロ野球】戦力外の現実とようやくつかんだ自信 徳山壮磨26歳、"新球"ツーシームに賭けたトライアウトのマウンド (2ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu

【苦しい復帰の現実】

 だが、初勝利の直後に疲労から腰痛を発症して登録抹消。二軍でも登板の機会がないまま、9月には椎間板の手術に踏みきった。昨年のCSや日本シリーズはテレビの前で悔しい思いを抱えながらの観戦となったが、その分、早い段階から復帰に向けたリハビリを行ない、今季は開幕からフル回転で投げるはずだった。

「体のほうは、キャンプから1年間しっかり動けていたので特に問題はありませんでした。ただ、すべてが元通りというわけにはいかなくて、どうしても戻りきらない部分がありました。キャッチボールやブルペンでは大丈夫でも、試合になるとうまく投げられなくて......。昨年のよかった時との感覚の"ズレ"を感じるなど、もどかしい状態が続き、きつかったですね」

 今季、二軍での成績は36試合で防御率3.31。シーズン中には球速も152キロまで戻ったものの、前半戦は自分を見失ったまま厳しい投球が続いた。35回1/3で32個の四死球、K/BB()0.80。その数字が示すとおり、最大の課題は制球力だった。

(※奪三振と与四球の比率を表す指標。3.5を超えると優秀とされる)

 どれだけ投げても、かつての感覚が戻ってこない。そうして夏が過ぎていくなか、現状を打破できない自分を変えたいという思いが強まっていった。徳山はついに、投球スタイルの変更を決意する。

「やっぱりストレートにはこだわっていたんですけど、うまくいっていなかったので、腹をくくってシーズン途中でも(ツーシームに)挑戦してみようと思ったんです。それでダメならしょうがないと納得もできますしね。ファームでは森唯斗さんが、ツーシームの握りでストレートを投げていましたし、ほかにもツーシームで150キロのボールを投げる投手はたくさんいます。自分も力強いボールが持ち味で、ストレートにシュート成分があるタイプなので、それならいっそ、そっちに振り切ろうと決めました。

 握りをツーシームに変えて、真っすぐと同じ感覚で投げるようにしたことで、体の動きもスムーズになり、コントロールもつけやすくなって、投球がまとまるようになりました。今日もキャッチャーの方には『真ん中にドーンと構えてください』とお願いして、イメージどおりのゴロを打たせることができました。いい手応えがあるので、このスタイルをもっと伸ばしていけたらと思います」

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る