【日本シリーズ】「甲斐さんがいなくなって弱くなったと思われたくなかった」 ソフトバンク、5年ぶりの日本一を支えた新正捕手・海野隆司の成長譚 (3ページ目)
【城島健司も最大級の賛辞】
その時期と重なるようにソフトバンクは首位に立ち、それからも厳しい戦いではあったが3つの山を制覇したのである。
そんな新たな正捕手の成長を喜び、最大級の賛辞を送ったのは城島健司チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)だ。
「初めは周りの皆さんも甲斐が抜けたあとがどうこう言っていましたけど、そんな声は聞かなくなりましたよね。結局1年間、海野が頑張ったけど、誰も褒めてくれないじゃない。褒めてやってくださいよ。こんな時しかないんだから」
明朗快活な城島CBOらしい言い回しをしつつ、言葉を継いだ。
「海野がビハインド・ザ・プレートでしっかりしなければ、レギュラーシーズンもクライマックスシリーズも日本シリーズも優勝はなかったと言えるくらい、守りの面では監督の期待に応えたと思いますよ。だって、マウンドに上がっていたピッチャーの顔を見てください。安心していたじゃないですか。それを見て、彼の成長を感じました。どんな名キャッチャーでも、最初から経験があるわけじゃない。場数を踏むことで、今度また来年の開幕からのどっしり感も変わってくる。来年の海野が楽しみですよ」
海野は、日本一チームの正捕手となった。
「甲斐さんにはまだ全然、肩も並べていない」
それでも名捕手の入り口には立ったのはたしかだ。捕手の評価は勝ちつづけること。海野の成長が、新たな黄金時代の幕開けへとつながっていく。
著者プロフィール
田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)
1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。
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