【プロ野球】球界一の小兵、身長164センチの西武・滝澤夏央はいかにしてレギュラーの座をつかんだのか (2ページ目)
【タイミングの取り方には自信がある】
滝澤の圧倒的守備力に何度も驚愕させられた一方、今季成長の跡を見せているのが打撃だ。
年間安打数は2023年が3本、2024年は22本でいずれも打率1割台に低迷したが、今年はすでに72安打。バットの芯で捉えてパチーンとクリーンヒットを放ったり、追い込まれてからしぶとい粘りを見せたりするなど、打撃面でも大きな戦力となっている。
いったい、何が変わったのだろうか。
「今までやってきたことの繰り返しで、あまり大きく変えた部分はないんですけど、練習から確率をよくすることを常に意識しています。練習からミスショットばかりしていたら、試合でも何球もないチャンスボールを一発で捉えられないと思うので。そういった部分の集中力とか、練習に対しての姿勢は少し変わったと思います」
端的に言えば、滝澤はプロの世界で圧倒的に不利だ。身長164センチ&体重65キロの体躯では、物理的に発揮できる力が限られる。しかも今は、パワーピッチャー全盛の時代である。
滝澤自身はこの点をどう考えているのか。
「自分はパワーもありませんし、スイングスピードも一軍でプレーしている選手たちのレベルにはまったく及びません。ですが、持ち味として"タイミングの取り方"には自信があります。投手のボールにタイミングを合わせてバットを出せれば、ヒットにつながるという意識です。
いくらスイングスピードが速くても、タイミングが合っていなければ、力任せに振ってもヒットにはならないと思います。逆に、タイミングさえ合って、足と腕の動きがしっかりかみ合い、バットをきちんと出せればヒットになる。その確率を高めるために、練習の段階から意識を変えて取り組んできました」
【悪い癖がないからこそ難しい】
きっかけは今季開幕前の春季キャンプで、新任の仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチに指摘されたことだった。
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