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「試合を見なくなった」「釣り? 全然行けてない」 城島健司が語るホークスCBO就任後の仕事と生活 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri kotaro

── 王イズムの"ここ"を大事にしてほしいと考える部分はどこですか。

城島 これは今の選手たちも大事にしてくれていると感じますが、僕は現役時代の頃から王さんには「プロ野球選手はユニフォームを着ている間は、ファンサービスをすることやメディアに自分を売り込むことは、バッティング練習やトレーニングと同じくらい意識を持たないといけないんだ」と言われていました。

 たとえば宮崎のキャンプ地でも「握手やサインを積極的にしなさい」と、僕らは言われていましたし、誰よりも王さんが一番ペンを走らせていました。僕も主力になってからは「練習に行く前にサインをしていきなさい。練習はいいから」と移動中に呼び止められて、20分くらいサインをしたりしていました。そうするとファンの方たちはものすごく喜んでくれる。僕らはそういうことが当たり前でした。

── オフもファンサービスを欠かさずやってこられました。

城島 野球教室もそうですよね。ホークスでは毎オフ、九州各地に選手たちがいっせいに出向いて野球教室を行なっているのですが、僕が現役時代に始まったことでそれが今も続いている。すごくいいことだと思います。

 ただ、そういった考えや取り組みは、今は根付いていても油断すると途絶えてしまいます。今は、小久保さんや僕が球団にいるので「これは王さんの時代から続いているすばらしい取り組みなんだよ」と伝えることはできます。だけど、王さんも僕らも永遠にホークスにいられるわけではありません。

【チームが休みの日は会議】

── それを未来につなげることが大切なのですね。

城島 そうです。ホークスは古きよきものを継承していきながら、一方では多くの新しい取り組みにチャレンジしている球団です。12球団で唯一、4軍制を敷いていて総勢120名近い選手を抱えています。そのすべてを、小久保監督をはじめ現場のコーチに把握してもらうにはあまりに仕事が多すぎるので、コーディネーター制を導入しています。ほかにも、今年から打撃部門にスキルコーチを入れたりもしました。

 ホークスが未来に向かってどのように進もうとしているのか。それはユニフォームを着ている現場だけなく、球団のフロントマンたちも知っておかなければならないのです。2025年の小久保監督が率いたホークスがどんなことに取り組んだのか、どんな野球をして、どんな結果だったのか。そのなかで、挑戦には失敗もつきものです。さまざまなトライ&エラーを次の世代、また次の世代へとつないでいかなければ、せっかく進めたことが無駄になってしまいます。

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