新庄剛志監督が導く日本ハムの強さの理由を飯田哲也が解説 「受け継がれる野村イズム」と「似て非なるチームづくり」 (3ページ目)
【似て非なるチームづくりのやり方】
── 野村監督は"再生工場"と呼ばれたように、特徴は"トレード"であり、"コンバート"でした。当時、飯田さんをはじめ、橋上秀樹さん、秦真司さんが内野、捕手から外野にコンバートされました。
飯田 自分たちは完全な外野へのコンバートでしたが、新庄監督はアリエル・マルティネス捕手を一塁、郡司裕也捕手を三塁、田宮裕涼捕手を外野で起用しています。ただ新庄監督は完全なコンバートではなく、打撃を生かすために複数ポジションをさせています。そこは似て非なるところであり、ある意味"新庄オリジナル"です。
── チームづくりの方法が違うと?
飯田 先述したように、野村監督はコンバートで適材適所を探り、そのあとメンバーは固定。一方、新庄監督は複数ポジション制を敷き、それに伴い打順も変わってくる。そう考えると、日本ハムの選手はよく対応していますし、器用ですよね。
── では、「野村野球」と「新庄野球」の違いはどこですか?
飯田 野村監督も新庄監督も、根底にあるのは"守り勝つ野球"だと思いますが、野村監督時代のヤクルトは古田さん、広沢(克己)さん、ジャック・ハウエル、池山(隆寛)さんとホームランを打てる打者が並び、結果的に"打ち勝つ"野球でした。だから高津(臣吾)がクローザーに定着するまで、岡林洋一や伊藤智仁を先発・抑えにフル回転させるなど、継投には苦労していました。
── 新庄監督の野球はどうですか。
飯田 現在のように、質量ともに豊富な投手陣を築くまでは苦労したと思います。それが今は投手陣が充実し、「どうやって点を取って、逃げ切るか」という点に注力していると思います。
【楽天・三木監督はノムさん譲りの弱者の兵法】
── 今年から楽天の指揮をとっている三木肇監督も野村監督の教え子のひとりです。
飯田 三木は、1995年のドラフトでヤクルトから1位指名で入団した内野手です。入団当時、ヤクルトは黄金期でなかなか試合に出るチャンスがありませんでした。それでもベンチからしっかり野球を勉強して、それが指導者になってから生きているように思います。
3 / 4