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元ベイスターズ倉本寿彦が培った「3ミリの成長」 くふうハヤテで「1日1日、うまくなっている」 (2ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu

"3ミリの成長"という言葉に、倉本の謙遜と喜びが見え隠れする。実際、これまであまり前に出たがらなかった倉本が、今季はハヤテのプロモーションやイベントにも積極的に出演し、メインポスターを見てもど真ん中で、かつて見たことのない必死の形相をつくりバットを振る姿がある。

【いいメンタルで向き合えている】

 オフには地元・茅ヶ崎で毎年行なっている野球教室だけでなく、FMラジオで宮治淳一氏の音楽番組にも出演するなど、意欲的に過ごしてきた。

「これまでは"すべてが野球"という感じで、それ以外のことは断っていたんです。でも、知らない世界に踏み出すのもきっと価値があることなんじゃないかと思って、いただいたオファーはなるべく断らずに受けるようにしてみました。ほかの人から見たら、たった3ミリくらいの成長かもしれません。でも僕にとっては、3ミリはデカいんで(笑)」

 そして倉本はこう続けた。

「やっぱりプロとして勝負している以上、『絶対に結果を残さなきゃいけない』とか『いいプレーをしたい』とか、どうしても『自分が......』ってなりがちなんですよね。それは当然のことだと思います。でも、日本新薬でもハヤテに来てからも、若い選手たちといいメンタルで向き合えている自分がいます。彼ら、本当にすごく練習するんですよ。それに負けたくなくて、僕も限界まで競っていたし、自然と積極的に話しかけるようにもなっていました。

 もちろん、自分が打てなければ悔しいし、負けたら次は勝ちたいと思う。同じポジションの選手が活躍すれば、『オレだって』という気持ちになります。でも、そういう気持ちの捉え方が、これまでとは少し違うんです。今はすべてが自分じゃない。気持ちをいろんなところに分散できるようになって、そのおかげで少し心に余裕ができたというか......3ミリくらいだけど広がった気がするんです。壁にぶつかった時に、以前ならメンタルで崩れていた場面でも、今は前向きに一歩、二歩と踏み出せるようになった。そんなふうに選択肢が増えている実感があるんですよね」

つづく


倉本寿彦(くらもと・としひこ)/1991年1月7日、神奈川県出身。横浜高から創価大、日本新薬を経て、2014年のドラフトでDeNAから3位指名を受け入団。1年目から開幕スタメンを果たし、3年目には全試合フルイニング出場を果たすなど、不動のレギュラーとして活躍。しかしその後は出場機会を減らし、22年のシーズン終了後に戦力外を受ける。23年は古巣である社会人野球の日本新薬でプレーし、昨年NPBファームの新球団・くふうハヤテベンチャーズ静岡に入団した。

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著者プロフィール

  • 村瀬秀信

    村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)

    1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。

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