名づけ親はあのミスタースワローズ 社長が振り返るグラブメーカー「ドナイヤ」誕生秘話 (2ページ目)
ドナイヤのグラブは選手にも有償提供で、最初に購入したのはヤクルトの松元ユウイチ(現・ヤクルト外野守備走塁兼作戦コーチ)だった。松元が振り返る。
「僕の記憶では、ほかに(当時オリックスに在籍していた)アレックス・カブレラですね。最初はファーストミットに力を入れていたというか、試していたと思います。使った最初の印象は、革の感じがすごくよかった。それからずっとお世話になりました」
今年2月、松元はブラジル代表の監督として、WBC最終予選を突破。来年は本大会で指揮を執る。
「選手たちにドナイヤのグラブをすすめることがあるかもしれませんね(笑)」
【山田哲人とアドバイザリー契約】
池山はドナイヤ設立にあたり、「プロ野球に入ってくる選手は、それまでお世話になっているメーカーがついているので厳しいぞ」と、村田に助言した。実際、ほとんどの選手が大手メーカーと契約している関係で、練習用に購入する選手はいても、試合で使用することは難しいという。
そうした状況下で、2016年にヤクルトの山田哲人とアドバイザリー契約を結ぶ。池山は「(契約選手の)一発目は山田でいけ」と、村田に言い続けていたという。
そして設立から15年、村田はひとりで会社を回してきたが、この先も「ひとりがいいですね」と笑った。
「たしかに、ひとりで営業しないといけないし、販促も開発も検品も出荷もしないといけません。でも僕は、もともと大学は夜間だったんですけど、朝にアルバイトをひとつして、大学に行って、そのあとに野球部で練習して、終わってからもうひとつアルバイトをしていたので、それに比べれば今のほうがラクというか......(笑)」
とはいえ、その生活はとてもハードだ。
「たとえば、大阪から新横浜に着いてスポーツ店を何軒か回って、そのあと都内の店にも行って。翌日は朝10時にスポーツ店に行ってから、神宮球場でチームの方にあいさつをして、そのあとまたスポーツ店を回る感じですね」
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