中村武志が語る韓国プロ野球のリアル 「レベルは?」「選手の年俸は?」「なぜ国際大会で勝てない?」「ロボット審判は?」 (2ページ目)
── なぜ、勝てなくなってきているのでしょう?
中村 日本との最大の違いは、アマチュア野球チームの絶対数が少ないことです。少子化で激減したとはいえ、日本では3000チーム以上の高校が甲子園の地方大会に出場しています。さらに大学、社会人も充実していますからね。一方、韓国は2020年の時点で高校の野球部は約80校です。だから韓国では、プロ入りしてから本格的に野球を教わるといった具合なのです。
── 韓国には徴兵制ありますよね。
中村 軍隊がありますので、2年間の兵役を終わらせないと野球も私生活も落ち着かない部分があるのではないでしょうか。「軍隊内チーム」は強くて、入れれば野球を続けられるのですが、1チームしかないので、人数の兼ね合いで順番待ちなどもあるようです。五輪、WBC、アジア大会で金メダルを獲れば、兵役免除もあるようですが、獲れなければ軍隊に行って、プロを一時離れることもあるそうです。
【ロボット審判の精度は?】
── 年俸はどのぐらいでしょうか。NPBの外国人選手と非会員選手を除く(二軍選手も含めた)2024年の日本人支配下選手の平均年俸は、4713万円です(日本プロ野球選手会調べ)。
中村 全10球団に所属する513人の平均年俸は、約1704万円だそうです。最高年俸の選手は約2億7500万円。ただし新人は約330万円程度で、活躍すればMLBを目指す傾向にありますね。
── 野球人気自体は高いのですか?
中村 最高を10としたら、8か9くらいだと思います。国内スポーツのなかでも、かなり人気はありますね。昨年、韓国プロ野球は歴代最多となる1088万人の観客を集め、最近はチアリーダーのダンスも大流行しています。
── MLBは投手と捕手間でサインの伝達に電子機器「ピッチコム」を活用しています。韓国でも使用していると聞きました。
中村 はい、使用しています。捕手のリストバンドに装着した機器の球種なり、コースのボタンを押すと、投手の帽子に音声が飛んで聞こえます。これにより試合時間短縮やサイン盗み防止につながるとされています。
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