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ベイスターズ「史上最大の下剋上」の舞台裏を戸柱恭孝が語る ジャクソン、ケイはこうして覚醒した (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── プロ入り時の2016年はアレックス・ラミレス監督就任の年でもありました。現役時代は「投手の球種より、捕手の配球」を研究して、通算2000安打を達成した選手でした。

戸柱 ラミレス監督には5年間お世話になりました。僕がデータ好きになったのは、ラミレス監督の教えが基盤です。データの使い方ひとつで、捕手が安心できる材料になります。

── 東克樹投手(シーズン13勝4敗)が阪神とのCS第1戦で、左太もも肉離れで4回降板。ただでさえ先発投手の頭数が足りないなか、特にアンドレ・ジャクソン(8勝7敗)投手とアンソニー・ケイ(6勝9敗)投手を絶妙なリードで引っ張りました。

戸柱 巨人とのCS第1戦で初めてケイとバッテリーを組みました。試合前の投球練習で彼の球を受けて、球威、球質に衝撃を受けました。「ユー、すごい投手や。なんで、この球でシーズン6勝なんや」と(笑)。荒れ球ではありますが、本番でいかにボール球を振らせるか、ストライクを投げさせるかは捕手の仕事です。案の定、ケイは巨人打線に6回4四球でしたが、6奪三振の無失点に封じ、初戦をとったのです。今シーズンは2ケタ勝ちますよ。

【栗原陵矢に6球連続チェンジアップ】

── ソフトバンクとの日本シリーズでは、第1戦の1回表、四球で出塁した柳田悠岐選手の盗塁を刺し、7回にも周東佑京選手の二盗を刺しました。シリーズ第1戦で2つの盗塁を刺したことが、後々の戦いに大きく影響したのではないでしょうか。

戸柱 はい。その試合は結果的に負けてしまったのですが、その後の試合はそんなに盗塁を仕掛けてこず、結果的に6試合で許した盗塁は2つだけでした。

── チームとしてのターニングポイントは、2連敗のあとの選手ミーティングだと聞きました。

戸柱 若い選手が多くて、経験が少ないチームなので、CSで阪神、巨人を破ってみんな満足したのか、少し浮ついた部分はありました。だから、僕、筒香嘉智、桑原将志、柴田竜拓、主将の牧秀悟が中心となって、選手ミーティングを開きました。それが結果を左右したのかどうかはわからないですけど、そこから4連勝で日本一に駆け上がったわけですから......みんながいろんな意見を出し合い、ほんとに"いい時間"でした。

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