オリックス6位・片山楽生は社会人からの入団も伸びしろだらけ スカウトも惚れ込んだ「人間性」を武器に覚醒の予感 (3ページ目)
片山が「東京の父」と慕うNTT東日本の安田武一コーチ photo by Takagi Yuこの記事に関連する写真を見る 安田コーチ、片山自身も「怖いもの知らずだった」と振り返る2年目の夏の都市対抗でも、好救援で白星を挙げるなど2試合に登板した。だが、以降は思うような結果を残せず、またチームの投手層の厚さもあり次第に登板機会が減っていく。
高卒選手のドラフト指名解禁となる3年目は4月以降、1イニングを超える登板は公式戦で一度もなく、調査書も1球団のみで指名漏れに終わった。決して片山が怠惰だったからではない。むしろその逆だ。安田コーチが言う。
「物事の考え方は大人びているから心配していなかったんだけど、考えすぎちゃう。『こういうボールを投げたい』というイメージばかり膨らんで、(投球の)タイミングが取れなくなってしまいました。昔みたいに『あれしなさい』『これしなさい』なんていうのはよくないと思っていたし、考えもしっかりある投手なので、彼を尊重しながらの指導でした。ただ逆に、もっと方向づけしたほうがよかったかなと思うところもありますよね」
試行錯誤の日々。それでも、片山の「もっといい投手になりたい」という一途な思いがブレることはなかった。安田コーチもその人間性には感心する。
「彼をつくり上げているのはなんなのか。本をすごくよく読むし、外部からよく物事を取り入れている。ご両親もすごくいい方なので、その血も引いているんでしょうけど、あんな人間なかなかいないですよ」
これまで多くの選手と触れ合ってきた安田コーチでさえ、そう舌を巻く。片山自身も読書でさまざまなものを得てきたと語る。
「中学校の時に朝読書の時間があって、面白いなと思ったことがきっかけです。本については、親父が"いくらでも買ってやるよ"って感じだったので、高校時代に寮で外出がそんなにできない時は"面白そうな本を10冊くらい送って"と頼んでいました。いろんなヒントが載っているので、教科書を読むみたいな感じですね。物事の考え方、組織、心理とか」
野球の本はほとんど読まず、最近のお気に入りはマーケターで実業家の森岡毅氏の本だと言い、「会社もチームも組織。森岡さんの本を読んで、やる気の引き出し方やモチベーションの上げ方、他者にどうすれば伝わるのかを学んでいます」と叡智を吸収した。
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