佐々木朗希はメジャーで通用するのか? 中尾孝義が「あの感覚が戻ってこないと厳しい」と指摘したポイントとは? (3ページ目)
── ロッテのキャッチャー陣が、佐々木投手のよさを引き出した部分はありますか?
中尾 最初の頃は松川虎生がマスクを被っていましたよね。あのケースはどちらがリードしていたのかわかりません。佐々木が首を振って投げていた部分もけっこうあったように見受けられました。でも、高校を出てすぐのキャッチャーが、あれだけできるのはすごいですよ。
松川はもっとよくなると思って見ていたのですが、1年目にある程度できたので錯覚してしまった部分もあるかもしれません。佐々木がいいからあれだけ抑えられた。ほかのピッチャーで同じリードをしたら、想定していた結果と違った......なんていうこともありえます。そのあたりは勉強していかないと、今後一軍の試合に出られない可能性もある。佐藤都志也がすごくよくなりましたからね。彼の場合はバッティングもいいし。
【賛否両論あるのは仕方ない】
── 佐々木投手はマイナー契約からのスタートでメジャーに挑戦するわけですが、やはり体力面が課題でしょうか?
中尾 ランニングやウエイトで補えると思いますが、加えて今以上の体幹の強さを追求していくべきですね。もちろん本人のトレーニングのコースに入っていると思いますが、体幹はいろいろなアプローチをしていかないと鍛えられないんです。体の使い方を見ているともともと体幹が強いことはわかりますが、それに甘えずに毎年少しずつ高めていってほしいなと。
もう今からですよね。この冬の間にそれをやっておかないと、いざアメリカでボールを握ったときにいいパフォーマンスが発揮できません。スタミナを冬に蓄えておかないと向こうで切れてしまいます。あと、彼はマメができやすいので、クリームを塗るなり指のケアも必要ですね。
── 技術面は通用しそうですか?
中尾 前編でもお話ししましたが、今よりも前の位置で"上から叩く感覚"が出てこないと厳しいと思います。完全試合を達成した頃は、その感覚があったと思うんです。近年は少々球持ちが悪くなって体が少々横振りになり、叩けなくなっているので、上から叩く感覚を思い出してほしいんです。
日本でもそうですが、特にメジャーでは球速が160キロを超えようが、コントロールが悪ければ打たれます。逆に言えば制球力がいいピッチャーは打たれません。ワールドシリーズで先発していたゲリット・コール(ヤンキース)は150キロ台後半の真っすぐを投げますし、変化球のコントロールはいいですが、やっぱり打たれる時は制球できていない時ですから。
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